コツコツと読み逃していた江國さんの作品を読みます。なぜだか飽きません。
翻訳家の柊子とプーケットで会った少女、ミミちゃん(美海)の物語。
ぴしゃりとした物言いの柊子の母親桐子さん、特定多数の恋愛を続ける柊子の夫の原さん、ミミちゃんの相手をする亘くんなど登場人物が魅力的で、(いつもの淡々とした日常物語ではなく)ドラマチックな物語でした。
文章の調子は『真昼なのにくらい部屋』を読んだ後だからか漢字が多く感じられ、多少スノッブな雰囲気が感じられました(!?)。
結婚しても夫婦で恋愛し続けるというテーマ、なのかな。
これって数々描かれている江國さんの願望でしょうか。
そうじゃない、「家族になりたい」という人たちにとっては不快な作品かもしれません。
結婚してないからわからないですが。
そのようなことが、江國さんにしては答えをきちんと描いていて、すっきりわかりやすいと感じました。
最後のほうで未亡人であるさやかさんが、「生きている相手に対して、感情を不変のまま保存することはできないのよ」と話すシーンで、柊子の試みは苦しい試みであることがわかります。
原さんと柊子の甘い描写やミミちゃんの描写は、ポンちゃん(山田詠美さん)の作品を読んでいるような気分になることもありました。
ミミちゃんはいつもイヤフォンをしていて、亘くんから教えてもらったステッペンウルフの「born to be wild」なんかを好んで聴いていますが、バーでそれを流されたときのシーンは、原夫婦のつながりを感じて、喜んでいるミミちゃんが滑稽でかわいそうに思えてしまった。
タイトルの「がらくた」は、未亡人のさやかさん家で見た捨てられないものが象徴しているのかな。それは、桐子さんの部屋にも通じるものがあり、夫婦の間に横たわる捨てられない何かなのかな、と思いました。
- 感想投稿日 : 2014年4月16日
- 読了日 : 2014年4月16日
- 本棚登録日 : 2014年4月16日
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