30過ぎてからだろうか、江國さんの作品がますます好きになった。これもほろよいのイチゴ味を飲みながらすらすら読めました。
祖父母や両親の財産で生活している50を過ぎた男性・稔が主人公。財産管理をしているだけで仕事をしていない。独身で娘がいて、そして無類の読書好き。
彼が読んでいる本の世界も楽しめて一石二鳥のストーリーになっている。むしろそっちの話がミステリーなので、続きが気になって読み進めてしまった。これも江國さんの仕掛けかな。
稔が本の世界に入り込む様子、邪魔が入る様子、本ばかり読んでいる稔(や娘の波十)に腹を立てる元恋人の渚など、ふふふ…と楽しめた。
なにが言いたいのかと言われると困るけど、たぶん人生はこんな風に若いときと自分自身の感覚はあまり変わらないってことと、自由を生きることは孤独だし、普通を選ぶとそれはそれで不満もあるしってことだなぁと思った。
稔とその姉の雀にとってはセックスがまったく重要じゃなくて、二人が姉弟だからまだ孤独じゃなくてよかったね〜と思った。
稔と雀のなかなか暮れない、緩やかな時間が心地よかったです。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
江國香織
- 感想投稿日 : 2019年2月7日
- 読了日 : 2019年2月3日
- 本棚登録日 : 2019年2月7日
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