初・道尾秀介さん。
作品名はとてもよく聞くが、確かにこれは好き嫌いが分かれそうだ。
私は…どっちかといえばあまり好きではなかったかな笑?表紙のイラストからもう少し明るい話をイメージしていたからかも知れない。
思いの外暗く、グロテスクで人間のダークサイドを煮詰めたみたいな話だった。
最初のページを読んだ時すでに息が詰まるような重さを感じる。
そういった世界観を作り出していたという点で筆力を感じさせる。
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学校でイジメを受けていたS君の死体を発見してしまった9歳のミチオ。
しかしその死体は忽然を姿を消してしまう。
3歳の妹ミカ、そしてS君の生まれ変わりだという「蜘蛛」。彼らと事件の推理をしながら、消えた死体を探す。
もう書いててこの時点で違和感たっぷりなんだけど笑
物語の世界観がこの非現実な初期設定を
「まぁアリか…」と読者にスルーさせるのが凄い…
事件の筋は、最初は追えていたんだけど
泰造爺さんあたりから複雑になってきて、私のレベルで理解が難しく…ちょっと読み飛ばし笑
こんな9歳どこにもいないよ…どんな生き方してんだよ…
そしてこの物語の一番のミソ、
叙述トリックの部分。
最初は「イヤイヤ、そんなん無理ちゃう、どゆうこと?」
とまずショックと混乱が来る。
その後行き戻りしつつ違和感の正体を確かめる。納得するとともにヤバぁー(´༎ຶོρ༎ຶོ`)
ここで言えないけどさ、ミカとかさぁ…色々きついなぁ、色々きついなぁ…
人は誰しも自分の中に都合の良い物語を作りながら生きている。
後悔や失敗。忘れてしまいたい、隠してしまいたい負の感情から身を守るため。
そこはわかる。わかるが…
「物語を作るなら、もっと本気でやらなくちゃ」
イヤイヤ…あんた本気すぎでしょ
エピローグも絶望的だけど、もう一度最初に戻ると大人になったミチオが「物語」から未だ抜け出せていないことが分かり、更に絶望を味わえておすすめ。
- 感想投稿日 : 2021年8月12日
- 読了日 : 2021年8月10日
- 本棚登録日 : 2021年5月5日
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