カカシの夏休み (文春文庫 し 38-1)

著者 :
  • 文藝春秋 (2003年5月9日発売)
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本書は3つの作品から構成さており、最初の二つは30代の教師が主人公で、最後の一つは、自殺した同級生の遺書に名前を書かれてしまった弟を持つ、女子高生の姉が主人公。
その中の「ライオン先生」は、竹中直人主演でテレビドラマになっていたそうですね。(2003年)
個人的にもその話が一番印象に残りました。
中年になり、今までの生き方では通用しなくなってきた主人公。自慢のライオンのような長髪も今では時代遅れ。亡き妻の言葉を守り抜きながらも葛藤し、変化を受け入れようとしたり抗ったりする姿勢がとても人間味があり好きでした。
薄くなった長髪を、カツラを被り自分を偽ってライオン先生であろうとした主人公。結局それを脱ぎ捨てた時も、これは退化ではなく進化だと感じました。
全ての問題が解決したわけではないけれど、生きることへの希望が最後に示される優しい世界だと感じました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年10月9日
読了日 : 2021年10月9日
本棚登録日 : 2021年8月15日

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