一生に一度だけ、すでに他界している人と満月の夜の数時間逢瀬を持てる…生者と死者、それぞれの希望を聴き、日時調整を行う使者(ツナグ)…。急逝した憧れのアイドル、ガンで他界した母、喧嘩したまま亡くなった親友、生死のわからないまま姿を消した婚約者…それぞれ逢いたいとした生者と死者との関係、逢瀬の時間とその後のことなどを描く…。最終章では、使者としての仕事を引き継ぐことになった祖母と孫の歩美のエピソードが収められている…。
この中で心に刺さったのは、「親友の心得」と「待ち人の心得」…。「親友の心得」では、多感なこの時期らしい女子高生の悩みや葛藤などが、痛いくらい忠実に描かれてました。思わず共感し涙してしまいました…。「待ち人の心得」では失踪した彼女の方に感情移入してしまい、じーんとしちゃいました。
逢うか、逢わないかで今後の気持ちの持ちようがずいぶん変わっていくと感じます。でも、この作品では逢わなければ前にすすめない事情もそれぞれ抱えてますよね…。私はどうなのかな…すでに他界していて逢いたい人ももちろんいるけれど、前にすすめないほどの事情はないし、逢うにしてもとっても勇気のいることだと思いますね…。ただ、勇気を出してどうしても逢いたい、逢わなければならないと…想ってもらえるような生き方もまたいいなって感じました。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
辻村深月
- 感想投稿日 : 2023年2月17日
- 読了日 : 2023年2月17日
- 本棚登録日 : 2023年2月15日
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