嘘つきア-ニャの真っ赤な真実

著者 :
  • KADOKAWA (2001年7月1日発売)
3.97
  • (107)
  • (106)
  • (91)
  • (9)
  • (2)
本棚登録 : 695
感想 : 107
4

米原万里さんの本を初めて読みました。
まず読んでいて、これって外国の小説を訳したような文章だな~と思いました。
読み進めていって納得。
作者は子供の頃、プラハのソビエト学校に通っていた。
これは、その時知り合った友達のこと、大人になってその人たちと会った時のことが書かれたエッセイです。

ここで出てくるのがリッツァとアーニャとヤースナという3人の女の子。
リッツァは明るくて勉強嫌いで・・・というこの中では普通の女の子。
アーニャは優しくて人気者だけど、たわいない嘘をつく女の子。
ヤースナは優等生で何でもそつなくこなす一見冷たく見える女の子。

彼女たちとの出会い、作者との会話によって異国の文明や考え方が分かるのが楽しかった。
表面的にこの国はこうだろうと知識で分かっていても、実際にそこに住んでないとこういう言葉は出てこないだろうな~と。

またタイトルにもなっているアーニャの話ですが、実話だけどうまく書かれているな~と感心しました。
共産国家で、どこも同じノートしか売ってないのにアーニャが手にしていた黄色いノート。
それは近所の店で売っていたと嘘をつくアーニャ。
何故彼女はそんな嘘をつくのか、そこには思った以上に深い理由があって、なるほど・・・と思いました。
誰に嘘をついても、自分さえそうだと真実をねじまげて思いこんでも、心の深い部分の自分だけには嘘をつけない。
真実はやはり自分の中にあって・・・。
矛盾しているけど、だからこそ彼女は嘘をつくのだと思いました。

また米原さんという方は誠実な方だな~と思いました。
友達が心配だからといって情勢が不安な国に赴くなんて中々できることじゃないです。
今度はこの方が異国で暮らしていた目から見て日本のことを書かれた本を読んでみたいと思いました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ
感想投稿日 : 2013年7月29日
読了日 : 2011年6月18日
本棚登録日 : 2013年7月29日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする