残酷な神が支配する (1) (小学館文庫 はA 31)

著者 :
  • 小学館 (2004年10月15日発売)
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タイトル通り残酷な内容のマンガ。
あまりにつらい内容にエネルギーの少ない時は読みたくないと思うほどです。
でもその残酷さ故にこの話は面白い。
こちらにグッと伝わるものがある。

ジェルミは15歳の少年。
父親はおらず母親と二人暮らし。
健康な青春を送っていたジェルミだったが、その生活がある日一変してしまう。
それは母親とつきあい始めた中年男の出現。
彼はイギリスの一見紳士風なお金持ちだったが、その実態は性格破綻者、そして異常者だった。
一度は彼の魔の手から逃れたジェルミだったが、とうとう罠にはまり蟻地獄のように彼の支配から抜け出せなくなってしまう。

ジェルミが最初と最後ではまるで別人のよう・・・。
彼がどれだけ過酷な中で生き抜いてきたのかが分かります。
心の傷というものは人格も根っこから変えてしまいます。

そこまで彼を変えてしまったのはもちろん、義理の父親になる男。
もうそれは言うまでもないわけだけど、それだけでなく、この話では全てを知っているのに見て見ぬふりをする周囲の人間たち。
何があろうと実際に目の前で起こることしか見えない義理の兄も全てが残酷。
そして何と言ってもジェルミの母親が残酷。
自分が原因を作っておいたくせに感情的になってばかりの彼女に本気で腹が立ちました。

ジェルミだけでなく、子供というのは親の庇護のもとに置かれます。
その際はある意味支配されている。
だけどそれが残酷なものだったら・・・逃げ場はないし救われない。

読んでいてつらくなる話ですが、一度は読んで欲しいと思う作品です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 少女マンガ
感想投稿日 : 2013年7月30日
読了日 : -
本棚登録日 : 2013年7月30日

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