一冊でもぶ厚い上中下巻からなる長編。
読みたいな~と思いつつずっと手つかずにしてました。
内容は一言で言うと、佐藤愛子さんの家系の自伝です。
私は知らなかったのですが、佐藤愛子さんは佐藤紅緑という有名作家のお嬢さんで、お兄さんはサトウハチローさんなんですね。
サトウハチローって聞いたことあるけど・・・くらいだったのですが、読んでいるとあの「ちいさい秋みつけた」や「りんごの歌」を作詞した人だと知って「ほ~っ」と思いました。
でも、この本に書かれてるサトウハチローさんはあの歌からは想像できないような人でした。
利己主義者でわがままで小心者でケチ。
そんな人が、
ちいさい秋ちいさい秋ちいさい秋み~つけた~♪
りんごは何にも言わないけれどりんごの気持ちはよく分かる~♪
こんな優しい可愛い詩が書けるのか・・・。
私は普段から絵や文章などはその作者の内面が出るものだと思ってるので、そうじゃないのかしらん?とふと思ってしまいました。
だけどあんな詩を書けるということは、本質は子供のように純真な心の人だったんでしょうね。
子供のように純真だからこそ、自分の欲望や気持ちに残酷なくらい正直だったのかな・・・。
この本は佐藤家の全ての人の立場になって書かれています。
佐藤愛子さんもご自身のことを客観的に見て書かれています。
お父さんと元舞台女優だったお母さんとの出会い。
それによってずっと後世へ続く家系への波紋。
佐藤家の男の子は皆、ろくに学校にも行かず、仕事もしないで、揃って女好きの不良ばかり。
そのほとんどが夭逝している。
それはタイトルの血のせいだ。血脈なのだ。
というのが大方のあらすじです。
ただ、その中で名をなして大成したサトウハチローさん、佐藤愛子さんを見ると、それだけじゃなく親の愛情を受けて育ったかどうかも影響してると思います。
サトウハチローさん、佐藤愛子さんはお父さんの佐紅緑藤さんに特に可愛がられて育ちました。
あとの方々は親の顔さえ知らない淋しい幼少期を過ごしてた人がほとんど。
愛情っていろんな意味で大きなものだと読み終えて思いました。
- 感想投稿日 : 2013年8月8日
- 読了日 : 2008年9月
- 本棚登録日 : 2013年8月8日
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