初めて読んだ作家の本。
1話読んで、自分に酔っているような文章だと思った。
登場人物の言動も陶酔っぽい。
読んでも読んでも内容が頭に入ってこず、何度読み返しても同じ。
手ごたえがないというか・・・。
文章にクセがある。
かっちり話の筋を追っていくというよりは雰囲気を味わうタイプの小説だと感じた。
内容はひと言で書くと、千春という女性の半生を彼女の周囲の目線で描いた話。
最初の話は彼女の母親目線で描かれた「ひとりワルツ」という話で、千春は放蕩者の母親に置いて行かれ祖母と暮らしている。
そしてそろそろ胸の膨らみが気になる歳になっている。
2話目「渚のひと」は千春の隣人の主婦目線で描かれた話。
彼女には出来のいい自慢の息子がいるが、彼と高校生の千春がつき合っていると気づいた彼女はヤキモキして千春に嫉妬する。
その後も、千春に関わる人たちの話が続く。
全9話。
後半の2話はそれまでと趣きが変り、「ああ、そういう事か」となる仕掛けがある。
よくある形式の話で、複数の人の目線から一人の女性が見えてくる、という風になっている。
ただ、人によって千春という女性の違う側面が見えるというよりはその人物像が固定されていくという感じ。
この本でよく使われている言葉は「愚鈍」。
うまく生きられない女性の姿が多くの人の目線から浮彫になっていく。
最初から最後まであまり恵まれた環境で生きてこなかった千春という女性。
ただ、同情なんて感情は一切わかない。
彼女はなるべくしてそうなった、という人生を生きているし、周りがどう変わってもそうなってたんだろうな・・・と思う。
それだけ自分を客観視して淡々と生きてきた人生が見えてくる。
読み終えて、何がどうだったと具体的によく覚えてないが全体的な雰囲気を味わう事はできた。
私には読みにくい文章だったが、これは個人の好き嫌いによって分かれると思う。
- 感想投稿日 : 2016年9月17日
- 読了日 : 2017年3月16日
- 本棚登録日 : 2016年9月17日
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