星の子

著者 :
  • 朝日新聞出版 (2017年6月7日発売)
3.27
  • (101)
  • (347)
  • (499)
  • (149)
  • (46)
本棚登録 : 3409
感想 : 468
5

ーーー大切な人が信じていることを、わたしは理解できるだろうか。一緒に信じることができるだろうか。ーーー

帯のこの一文が、この小説をよく表現している

主人公は小さいころ身体が弱く、父の同僚のすすめで特別な生命力を宿した水の存在を知る。この出会いから、両親は宗教にのめりこみ、それを受け入れられなかった姉の「まーちゃん」は高校で家を出るが、わたし「ちーちゃん」は家を出ることなく、中学三年生になった。

この話のすごいところは、最後にわかる
「ちーちゃん」が宗教に対して、親に対して、どう感じているか、それがわかるところで、流れ星をみつけて「アッ」となるちーちゃんみたいに読者も「アッ」となる
今村夏子おそるべしだ
3作読んですべてそういう気持ちになってきたけれど、今作は「こちらあみ子」に並ぶ名作だとおもう

脇を固める布陣もよくて、雄三おじさんの水入れ替え事件や、しんちゃん、南先生、ひろゆき、新村くん、釜本さん、エドワードファーロング、春ちゃん、春ちゃんの彼氏、なべちゃん…

後半にいくにつれて、泣きそうなきもちになる
差別や偏見をする大人に対し、子どもはやさしい

こういうことって、身近にすごくあるんじゃないか
読んでいる自分自身がなにか試されているような気になってくる

すごい本を読んでしまった

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2017年7月23日
読了日 : 2017年7月23日
本棚登録日 : 2017年7月23日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする