ーーー大切な人が信じていることを、わたしは理解できるだろうか。一緒に信じることができるだろうか。ーーー
帯のこの一文が、この小説をよく表現している
主人公は小さいころ身体が弱く、父の同僚のすすめで特別な生命力を宿した水の存在を知る。この出会いから、両親は宗教にのめりこみ、それを受け入れられなかった姉の「まーちゃん」は高校で家を出るが、わたし「ちーちゃん」は家を出ることなく、中学三年生になった。
この話のすごいところは、最後にわかる
「ちーちゃん」が宗教に対して、親に対して、どう感じているか、それがわかるところで、流れ星をみつけて「アッ」となるちーちゃんみたいに読者も「アッ」となる
今村夏子おそるべしだ
3作読んですべてそういう気持ちになってきたけれど、今作は「こちらあみ子」に並ぶ名作だとおもう
脇を固める布陣もよくて、雄三おじさんの水入れ替え事件や、しんちゃん、南先生、ひろゆき、新村くん、釜本さん、エドワードファーロング、春ちゃん、春ちゃんの彼氏、なべちゃん…
後半にいくにつれて、泣きそうなきもちになる
差別や偏見をする大人に対し、子どもはやさしい
こういうことって、身近にすごくあるんじゃないか
読んでいる自分自身がなにか試されているような気になってくる
すごい本を読んでしまった
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2017年7月23日
- 読了日 : 2017年7月23日
- 本棚登録日 : 2017年7月23日
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