高校生の時だったかな、初めて読んで、それから今回読むのは3~4度目かな。初めて読んだ時は主人公の男と”田中一郎”との小気味良い会話の掛け合いと、作品全体に通底するある種の気味悪さを楽しんでいたような記憶がある。後半の記憶がおぼろげなのは、多分話がややこしくなってきたからだろう。そういう意味では、細部はともかく、全体としては今回が一番話をよく飲み込めたと感じている。やはり10代後半の頃と、今(29歳)とでは、理解力というよりは、作品を相応に受け止められるだけの素養(経験)に差があるのだと思う(頭が柔らかいのは間違いなく10代の頃だけど)。
安部公房を久しぶりに読んで、比喩の卓抜さに感心したのと、特にこの作品がそうかもしれないけど、かなり論理立っているというか、理屈っぽいなという印象を受けた。読んだことないけど、SF小説は皆こんな感じなのだろうか。まあ何にせよ、この”不条理”感はやっぱり好きです。会話も相変わらず小気味良し。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説/物語
- 感想投稿日 : 2015年6月30日
- 読了日 : 2015年6月30日
- 本棚登録日 : 2015年6月30日
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