虚構の殺人者: 東京ベイエリア分署 (ハルキ文庫 こ 3-19)

著者 :
  • 角川春樹事務所 (2006年10月1日発売)
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 須田は、いたずらの共犯者を見る小学生のように笑った。
「大橋のことでしょう?チョウさん、大橋のこと、けっこう気にしてましたから……。村雨は真面目でいいやつなんですがね……。若い連中を育てるのはあまりうまくないかもしれないな」
 安積は須田が捜査課にいることを、かつて不思議に思ったことがあったが、今では、まったく疑問を持っていない。
 彼は須田に対して言い訳や隠しごとをしても無駄だと悟っていた。同僚にそう思わせる刑事は少ない。
「私が大橋と村雨のことを気にしているってことは、そんなに態度に表れてるか?」
「心配しなくたってだいじょうぶですよ。誰も気づいていませんて……」
「だが、みんな捜査課の人間だぞ。それに、事実、おまえは気づいている」
「そんなこと気にしてやしないからですよ」
(本文p.101)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2009年07月
感想投稿日 : 2009年7月2日
読了日 : 2009年7月2日
本棚登録日 : 2009年7月2日

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