想像をはるかに絶する
衝撃的な残虐な行為が
静かな筆致で描かれていく
なんども 本を閉じて
ふうっ の ため息が出てしまう
「闇の奥」を書いたコンラッドは
この本の主人公ロジャー・ケイスメントを
「イギリスの(正しくはアイルランド)バルトロメ・デ・ラス・カサス」
と呼んでいたそうだが
ケイスメント本人ではなく、彼を主軸に置いて著者バルガス・リョサの筆致を通すゆえに、より鮮明に、より印象深く、「帝国主義」「被植民地」のおぞましい実態が浮かび上がってくる
むろん、これはイギリス国を始めとする当時の植民地政策をとっていた全ての国の犯罪行為の暴露でもあるが、戦争行為を歴史の汚点として抱えた国全て、むろん、この日本の歴史的行為も含めて考えさせられる一冊である
優れたジャーナリストであり、英雄であり、同性愛者であり、国家によって抹殺された、一人の特筆すべき歴史的な意味を持つ、ロジャー・ケイスメントをここまで魅力のある人物として描き出したバルガス・リョサが凄い
また、日本語訳をしてくださった野谷文昭さんに感謝である。
とんでもないものを読んでしまった
と同時に
21世紀を生きる我々が
読んでおくべき一冊である と思う
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
文芸 ら行 の作家
- 感想投稿日 : 2022年3月16日
- 読了日 : 2022年3月22日
- 本棚登録日 : 2022年3月7日
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