きらきらひかる (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1994年5月30日発売)
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感想 : 2597
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テンポが良くてこれは楽しい読書になるかと思っていたら、睦月、笑子の抱えているものが重いことに気づく。
(同性愛者である)睦月は笑子に優しすぎていたいたしいほど。直球でぶつかる笑子は繊細、言動が個性的すぎて、アル中であり情緒不安定。笑子の関心の偏りは、今でいう(発達障害)にも見えてくる。二人のあいだに一般的でいう夫婦関係は無い。だが二人は心の深い絆で結ばれている。

ひとりならいい(どれだけ個性が強かろうと)、ふたりだとぶつかることもあり、三人になると(紺が加わって)またややこしくなる。(紺は睦月の恋人。)
親も加わると、子供は?という問題をつつかれ、世間からは異質扱いされる。
これは30年(?)も前の作品、時代を経て価値観も変わってはきた。諸問題に受け入れ体制は出来つつはあるが、根本的なところでは、一般的なという概念で通すのがベストな風潮は変わってないと思った。
両方の親が親族会議をする。睦月のことを「おとこおんな」と表現する義父。(今も私の親世代はそう表現するだろう。)根本的に結婚する資格がない人種、などと言い放つ。また片方の親は笑子の精神病を咎め、小競り合いの展開のない会議となった。
結局二人に紺が加わって、この先どうなるんだろう(?)
睦月、笑子、そして紺の純粋さが、きらきら輝いていた。シーツにアイロンをかける笑子が健気だ。
夫に恋人がいることも認める。睦月が求める愛が自分以外にあるのならば。笑子なんて優しいのだろう。
思う反面、理解し難いところもあり。私の年代的に、親の立場でものをみてしまうので、自分の身内がという目でみると複雑だ。読んだ後ざわざわとした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年9月6日
読了日 : 2020年9月5日
本棚登録日 : 2020年9月5日

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