この物語のつぐみの存在が意味するものは、命の限りを切に感じ生きている、という姿かなと思いました。
生まれつき病弱、その境遇ゆえ甘やかされ、意地悪く口は達者。しかし嫌な少女ではない、綺麗で賢くと、むしろ魅力的だ。
つぐみは過去を振り向かない、
つぐみには今日しかない、
つぐみなりの哲学もある。
一歳年上の従姉妹、まりあが語り手となり物語は進む。海辺の町で育った二人。東京へ移ったまりあが、夏休みに帰省し、二人が住んでいた旅館で最後に過ごします。
つぐみのような友人がいたら、きっと疲れてしまいそうだが、パワーは貰えそう。
生きていれば辛いこともあり、それを否定せず、肯定せず、そのまま見つめるばななさんの受け止めかたがいいと思いました。
人は一度くらい、深い穴を掘りたくなるのではないか、確かにそう思う。
ストーリーそのものより、つぐみの存在が強烈でした。
思い出を振り返るとき、不思議と情景が鮮明に浮かび上がることがあり、その感覚を得たような作品でした。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年11月19日
- 読了日 : 2023年11月19日
- 本棚登録日 : 2023年11月19日
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