死神の精度 (文春文庫 い 70-1)

著者 :
  • 文藝春秋 (2008年2月8日発売)
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千葉のような死神が目の前に現れても怖くはないだろう。人間を超越しているのに、人間の理解できない部分もあり、時々会話がぎこちなくて面白い。
ただ淡々と仕事をこなす千葉、対象者の限られた時間に寄り添う。千葉と関わることで対象者の苦悩、喜びなど様々な感情が濃いものとなる。判断が「可」であっても具体的にどういう最期だったかには触れていない。結局、結果ではなく生き様なのでは。生きてきた年月とかでもなく。
死神対老女は二度読みした。千葉が仕事をするときは必ず雨。なのに、最後、老女の前では空が晴れる。千葉の調子が狂ったのか。だから老女の望み通りとはいかないのかも。老女の胸の内がわかるだけにラストのシーンには胸を打たれた。
最期を迎えることについて考えさせられた。自分はもう少し先。と思っていても、生きていれば何が起こるかわからない。そのとき幸せだと思えるよう、もう少し精進しなくては。
音楽の世界で大成した一恵、良かった。ミュージック好きの千葉の好みで。道はいつ開けるかわからないということですね。
人間の本質を捉えた名言がたくさん。
人間というのはいつだって、自分が死ぬことを棚に上げている。
眩しい時と、笑う時の表情、同じなのだろうかとやってみました。初めて気づいた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2022年4月1日
読了日 : 2022年4月1日
本棚登録日 : 2022年4月1日

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