その日その場所に居たことで、損害を(不幸を)被ってしまった人たち。現実はこうだと突き付けられたようでもあり。
探し物をしているのにどこにも見つからない、身悶えする気分にもなった。それは、誰一人これに対する明確な答えは持っていないということ。いかに人は物事を曖昧に見ているか、一つの事件を通し、生じる人間模様、人の脆さ、浅ましさ、欲深さに人生まで狂う。好ましくない事態に直面した時の捉え方の縮図のようで哀しくもあり、集団心理の恐ろしさを感じた。
大型商業施設において重大事故(事件)発生。真相は分からぬまま。聞き取り調査のQ&Aでストーリーは進行する。
各人に同じ質問を投げかけ、人は何と答えるか。物事の捉え方、自分だけはうまく立ち回ろうとする心理。真実は一つだが、人の数だけ事実はある。それぞれ信じるものは違う。
はっきりしない物憂い抜け出せない感覚がQ&A形式のみで響くのが凄い。どの章の生の声(アンサー)もが胸に届き、異色で面白かった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2023年1月2日
- 読了日 : 2023年1月2日
- 本棚登録日 : 2023年1月2日
みんなの感想をみる