引き締り緊張感のある文体。まるで目の前で事が展開されているような緊迫感。
まさしくこれはよく出来た短編ハードボイルド小説集。
直木賞を取った「強力伝」も良いが、思わぬ事で落とし穴に落ち、狼と相対する事になった男を描いた「おとし穴」が秀逸。二進も三進も行かない状況でも、お金の事を考える人間の性と狼との対決の緊迫感はただものではない。また、そのラストにも衝撃を受ける。
今まで新田次郎の長編作品は何作か読んできたが、短編集は初めて。もしかしたら氏の本分は短編にあるかもしれないと感じさせる作品集であった。氏の気象官としての経験も存分に発揮されている。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
古典・一般小説・時代小説・歴史小説・文芸
- 感想投稿日 : 2024年1月6日
- 読了日 : 2024年1月6日
- 本棚登録日 : 2014年11月4日
みんなの感想をみる