愛をください (新潮文庫 つ 17-9)

著者 :
  • 新潮社 (2003年11月1日発売)
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『愛をください』

同タイトルでの曲は有名で好きなんだけども、小説ははじめて読んだ。

自殺未遂をきっかけに、ある男性と手紙のやり取りを行うことになった少女、李理香(りりか)。
このやり取りのルールは、「真実だけを告げること」「相手に絶対に合わないこと」。

物語は全編が手紙で構成されていて、手紙ならではの時間や距離感が切なく現されている。

不思議と、李理香(りりか)の手紙を読む基次郎(もとじろう)の気持ち、基次郎の手紙を読む李理香の気持ちにも感情移入できるし、その手紙を書いた本人にも感情移入できた。

手紙のやり取りの進行が交互にリズミックに行く時もあれば一方的な時もあり、、、読者としては不思議な時間感覚を覚えた。相手からの手紙を待ちわび、次の手紙を書き、送る気持ちが切なかった。

終盤に大きな展開を向かえるんだけども、ただ「文通相手に会えてメデタシ」とかそんな単純なものではなく、そこも手紙ならではの静けさを保ちつつ、感情の高ぶりをヒシヒシと感じるものだった。

時間と空間の距離感と切なさを感じた、よい物語だった。

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【内容(「BOOK」データベースより)】
愛を知らずに育ち、生きることに倦んでいる君に、僕の想いは伝わるだろうか。もう君は一人じゃない。僕が必ず君を受け止めるから―。養護施設で成長し、自殺未遂を繰り返す十八歳の李理香の許に届いた一通の手紙。自らも同じ境遇だと明かす手紙の主・基次郎の素直な文面に、李理香も心を開くようになるが、意外な運命が二人を待ち受ける。往復書簡が織り成す、至純な愛の物語。

【内容(「MARC」データベースより)】
「追伸 幸せは君の手の中にあるよ。ありがとう。そして覚えておいて、僕はいつも君のそばにいるよ」 李理香と基次郎、二人の往復書簡が織り成す愛と孤独と再生の物語。
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【目次】
・本当の気持隠しているカメレオン
・白鳥になりたいペンギン
・片足でふんばるフラミンゴ
・おしゃべりな九官鳥
・心に棘を生やしているサボテン
・徹夜明けの赤目のウサギ
・どこか隅の方で僕も生きているんだ
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読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年3月13日
読了日 : 2013年3月7日
本棚登録日 : 2013年3月7日

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