まず、本書については一言で言うと、
『重い』(物理的にも、内容的にも)
ということに尽きる。
人類の歴史が始まって以来、人類の歴史は
持つ者と持たざる者との歴史
であると言って良いと思う。
本書をざっと読んでみて、平等を実現することがどれほど難しいということかが改めて確認できた。
農耕生活が始まる以前の
狩猟採取生活
が人類が最後に経験した平等であったのかもしれない。
本書で論じられる人類を平等化をさせる可能性のある四騎士
〇戦争
〇革命
〇崩壊
〇疫病
のうち、本当の意味である一定の社会を平等化できたのは
〇戦争→大量動員戦争である第二次世界大戦
〇革命→ソビエト連邦革命と中国共産党革命
だけだったのかもしれない。
〇崩壊(国の崩壊)
〇疫病(ペスト)
も多少の平等化は実現できたが、根本的な平等化とは程遠かった。
ただ、第二次世界大戦もソ連革命、中国共産党革命も圧倒的な暴力とその犠牲により成立しており、いずれも平等化されたからといって手放しで喜べるものではない。
では、今の社会で平等化は実現できるだろうか?
著者は悲観的である。
それこそ前述したような圧倒的な暴力による平等化は可能であろう。
つまり、それは核戦争などによって、
全人類が『平等』に死滅する
ということである。
この本を読んで、今までの人類の歴史では
「戦争や革命」はその固定化された社会を一旦リセットする
という役割があったということは、目からうろこが落ちる思いであった。
いずれにせよ、今の固定化された社会が平等化されるのはなんらかの大きな力が作用しなけれならないのであろう。かなり難しい問題である。
- 感想投稿日 : 2021年5月23日
- 読了日 : 2021年5月22日
- 本棚登録日 : 2021年5月23日
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