「お前なぁ、このままやと2000%成功でけへんで」
いっとき結構流行った本書、今さら感バクハツですが読んでみました。
特に読みたかった訳ではないのですが、行きつけの図書館の新刊コーナーの一番目立つところに本書が鎮座していたので
「これ、新刊じゃないやん、2007年発売やん、もう3巻もずっと前に出てるやん」
と内心激しく突っ込みをいれながらも、その真新しい本に引き寄せられるように、気がついたら借りていました(笑)。
本書の内容は「ドラえもんとのび太君」の関係を「コテコテの大阪弁をしゃべるインドの神さまガネーシャとそれなりの企業に勤めるもぱっとしない若手サラリーマン」という関係に置き換えた感じの小説仕立てのお話です。そしてガネーシャが出すのはもちろん秘密道具ではなく「自己啓発本やビジネス本に書いてあるような成功するためのコツ」を教えてくれるというものです。
なるほど~、こういう本の作り方もあるのですね。勉強になります。
ここに書いてあることは、「靴を磨く」とか「トイレを掃除する」などのちょっとスピリチュアルがかったことから、「まっすぐ帰宅する」「決めたことを続けるための環境を作る」など自己投資関係、そして「人が欲しがっているものを先取りする」「人の成功をサポートする」など直接ビジネスに関係するような話まで、いわゆる自己啓発本やビジネス本なら必ず書かれているようなことばかりです。
それをガネーシャが出す課題という形にして面白おかしく描かれているのです。
まったく期待していなかったけど、面白かったです(笑)。
僕も以前は結構自己啓発本は読んでいましたが、それを実践できているかかどうかはちょっと疑問です(笑)。それでも20年以上も社会人をやっていると、このガネーシャが出す課題はいちいちもっともなものばかりです。
それを実践できるか、できないかが人間、成功できるかできないかの分かれ道なんですね。
この主人公のように、ガネーシャがコーチとして日頃から寝食をともにしてくれたら実現できるのでしょうが、普通の人にはこれだけのことを自分だけでしなければいけないのが辛いところです。
僕が、この本を読んで思ったことと、20年以上の社会人としての経験を総合的に判断して得た結論は
「好きこそものの上手なれ」
ということですね。
もし「これをやれば必ず成功する」と言われ、それがどんなに正しくて、大切なものでもあっても、自分がそれをやることが嫌いだったり、イヤイヤながらやっても絶対に身につくことはありませんし、成功することもないです。
成功する人って、それが好きで、それを突き詰めたところに成功が降ってくるという感じなのではないでしょうか。
ここからはちょっとネタバレになりますが、この本を「最後、この主人公はどうなるだろう」と手に汗握りながら読む人は少ないと思いますので、がっちり書いてしまいますね(笑)。
結局、この主人公のサラリーマンも本当は建築関係の仕事をしたかったのに、会社の名前や世間体などで今の会社を選び、特に大きなモチベーションもなく働いていたのです。しかし、自分が本当にやりたいことを見つけ、会社で仕事をしながら勤務後に建築の勉強をし、最終的に建築家として成功するという話になっています。
要するにそういうことなのです。
自分がやりたいことを本当に自分の仕事にできている人って意外と少ないと思うんですよね。
でも、これから僕たちが働かなくてはならない期間って必ず長くなっていくと思います。好きでもない仕事をずっと繰り返していかなければならないことほど辛いことはないでしょう。
70歳になっても80歳になっても自分のやりたいことを仕事にできるっていう人は少ないかもしれませんが、それを目指して日々を生きて行くってことは素敵なことではないでしょうか。
この本に書いてあることは、いずれも小さなきっかけにしかすぎないことばかりですが、今の就職活動をしている大学生や若手の社会人の人には何かと得ることがある本だと思います。
また、巻末の参考文献リストにあげられている数々の本は、自己啓発本やビジネス書として古くから読まれている古典的名著ばかりですので、それを確認するためだけにこの本を手にしても良いと思います。
- 感想投稿日 : 2019年9月17日
- 読了日 : 2019年9月14日
- 本棚登録日 : 2019年9月17日
みんなの感想をみる