海外から見た日本を知りたくて読書。
視点が面白く、海外を拠点にしているためかグイグイ引き込まれる。
私は著者の半分以下の国や地域へしか行ったことない。それでも、毎回のように刺激を受け、トラブルにも遭遇している。その時は、「あー、最悪だ」と思うも、後からあれはあれで貴重な経験だったと思えるのがいい。
ソ連とロシア、民主化前の韓国、中国、ベトナム、ミャンマーなど以前とその後との比較が面白い。
本書を読むと旅を楽しんだり、トラブルを切り抜けるためには語学力が必要だなとチクリと痛む。英語を継続的に学ばないとっと奮い起こしてくれる(中国語も)。
本文はもちろん一読の価値はあると思うが、個人的には、若者の海外旅行離れについて~あとがきにかえて、はじめに、さいごに旅をより楽しむためにのその4、旅のトラブルが強く印象に残る。
はじめにのティーパックの紅茶の話は、ネスレのスティックタイプのインスタントコーヒーでも同じことを経験した。確かにその時には、これが途上国の現実かと苦笑したが、読んで、なるほどと妙に納得した。
旅先で悪い人に騙されない著者のルール。2つ目は、私も経験がある。どう考えてもターゲットにされている。でも旅先での心細さか安心してしまうところが怖い。
仕事柄、若者の海外旅行離れについて聞いたり、考えたりすることが多い。主要原因として日本での格差問題や不安定な雇用、将来への不安などだと考えていたので、著者の主張は目から鱗だった。
国内が楽しく満足度が高いので外へ出る必要性が少ないアメリカ、フランス。国内への不満があり、それを外へ求めるイギリス、ドイツ。4か国とも経済的には先進国と呼ばれる豊かな国。ここでの紹介統計は面白い。
海外へ行くよりも日本の方が安全で食事も美味しく、楽しいことも多い。そうなっているとしたら日本は多少いい国になってきたのかもしれない。
先週、秋葉原で知らずに訪れたドン・キホーテの上がAKB劇場だったようで、エスカレーターを上がっていくファンたちが実に楽しそうだった。確かに彼らなら海外よりもこっちへお金を使うよなと思った。
勝間和代氏が著者を以前から知り合いと紹介していた。そのため、2人の文体の違いにもついても考えながら読んでみた。著者は、断定表現を曖昧して避け、読者へ問いかけるような言い回しを多く用いる。不要な敵を作らない文体かなと思った。
読書時間:約1時間35分
- 感想投稿日 : 2016年4月24日
- 読了日 : 2016年4月24日
- 本棚登録日 : 2016年4月24日
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