失敗の本質: 日本軍の組織論的研究 (中公文庫 と 18-1)

  • 中央公論新社 (1991年8月1日発売)
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大東亜戦争における日本軍の指揮がどの様にして行われ、そして失敗したのかを書いた一冊。

大東亜戦争におけるノモンハン事件、ミッドウェー作戦、ガダルカナル作戦、インパール作戦、レイテ海戦、沖縄戦の6つの事例から日本軍がいかにしてアメリカやロシアなどの連合国軍と戦ったのかということとその際の日本軍の内情や行動について多くの文献による研究結果や考察が書かれており、非常に勉強になりました。

作戦目的の不統一、人事面、戦略ともに柔軟に対応できない組織構造、成功体験に固執した戦略、兵器の大量生産の未対応、陸海両軍の意思不統一、既存の手段から最適解を選ぶことを教える教育方針、個人責任が不明確な人事制度、陸軍の白兵第一主義と海軍の大艦巨砲主義、均衡状態の保たれた年功序列の組織構造など本書を読むことにより、敗戦という事実の裏側にある日本軍の失敗と米軍の柔軟な対応と学習による革新的行動が敗戦という結果に結びついたことを強く感じました。
そして今日の企業において引き継がれているものや求められているものにも繋がっており、組織の運営をしていくために最も不可欠なことを本書から学ぶことができました。

本書は戦後約40年経った時に出版されていますが、過去に固執せず、自己革新能力をどれだけ創造できるかという本書において最大のテーマは現代でも充分に通じるものであると強く感じました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史学
感想投稿日 : 2017年3月18日
読了日 : 2017年3月18日
本棚登録日 : 2017年3月18日

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