十五年前に自殺とされた女性教師の墜落死について、殺人の疑いが濃厚との情報が入り、時効成立まで二十四時間しかない中で、警視庁が事件の解明に挑む時間との戦いを描いた作品。
当時、高校生であり、テスト奪取を計画して学校に忍び込んでいた男達の供述を軸にストーリーが進んでいく。
全く予想できない展開で面白かった。序盤では真相に全く関係なさそうな話が続き、どう解決するのか全く見えなかったが、後半に入ってから、やや強引なところもあるものの怒涛の勢いで真相に迫っていく。そして、ラストで全ての複雑な伏線がつながる見事な終わり方だった。
また、ストーリーだけではなく、取り調べに当たる刑事達の人間模様も面白い。
個人的には、警察の末端人間の意見まで聞きつつ全般状況を冷静に整理して事件の解決を図ろうとする溝呂木係長の姿勢を心地よく感じた。
一方で、主要人物を取り調べつつ、同僚に先を越されることにイライラを見せる人間臭い寺尾刑事は、警察側の緊張感の現れのようで、絶妙な存在だと思った。
てんこ盛りの内容をうまくまとめていて、とても、著者の処女作とは思えなかった。横山秀夫恐るべし。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ミステリー
- 感想投稿日 : 2022年6月26日
- 読了日 : 2022年6月22日
- 本棚登録日 : 2022年6月22日
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