光圀伝 電子特別版 (上) (角川書店単行本)

著者 :
  • KADOKAWA (2012年10月31日発売)
4.03
  • (31)
  • (49)
  • (24)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 267
感想 : 30
4

「天地明察」と「光圀伝」とを読み比べて、物語の持つエネルギーの一部が、
  主人公のキャラクター×主人公の行動範囲
の掛け算から成り立つかな、などと想像してみた。

「天地明察」では、静かなる主人公、安井算哲(渋川春海)が日本各地を行脚し、道中(旅、人生の)、多くの人々からの助力、影響を受けて一大事業を成し遂げる姿に清々しい躍動感があった。
これに対し、「光圀伝」では、光圀(光國)そのものに凄まじいエネルギーがみなぎっているので、舞台の殆どが江戸と水戸に限定されていても物語の躍動感は、「天地明察」と変わらない、あるいはそれ以上に感じられて面白かった。

また、両作品を通じて、「託す」ということの素晴らしさと難しさを特に感じた。
主人公が成長し、かつて雲の上の人のように思っていた人から認められ、その先輩が果たせなかった夢を託される場面、その夢を成し遂げる場面、その後について後進に託す場面、毎回、心打つ形で描かれている。
現代においても、人それぞれにとって大切な事柄が託され、脈々と受け継がれていけばと願う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史
感想投稿日 : 2013年7月14日
読了日 : 2013年7月14日
本棚登録日 : 2013年7月14日

みんなの感想をみる

ツイートする