封印再度 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2000年3月15日発売)
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本棚登録 : 8625
感想 : 645
4

S&Mシリーズの折り返し地点まで来ました。
5作目……タイトルからして洒落すぎてるだろ!期待しかないという第1印象です。

・先入観
・日本的美的感覚
が今回の鍵のような気がしました。
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「呪われているのは、物質ではない。人間の認識、歪められた認識です」

起こった事象の表面から凝り固まった意味を見出し、それらをならべていくことによって、単純だった事がかえって迷宮入り手前まで到達しそうな複雑なものにしてしまう。
日常でやりがちだなーと、笑
人間関係での悩みのほとんどが、先入観とか歪んだ視点、認識から来ているのかもしれないですね。

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今作も、言葉のつむぎ方が描写的で、面白いものばかりでした。

「私」という人間を言葉で定義するのって、とんでもなく難しいイメージです。実際言語化しても、分かるような分かんないような…、時と場合によっても表現変わるし…。

でも、森博嗣さんは、その定義しにくいものを、目に見えるような……もしかしてさわれる?と思ってしまうような表現で、そして、日常で目にするようなありふれたものを表現道具として使って書き上げているところが、たまらん……という感じです笑

パフェの見た目、味、舌触りで人格を描写するって、どんな生活をしたら、そのような発想が湧き出るのか……芸術家ですか。

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そして!萌絵ちゃんと先生の関係にも大進展が!?
メインの事件ももちろんですが、萌絵ちゃんのトリック(?)にも犀川先生と共にドキドキハラハラさせられました。

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池波志乃さんのあとがき
これまで読んできた作品の中で、私的1番のあとがきかもしれません!
10ページなのに内容は本編の……3分の1くらいのボリュームなんじゃないでしょうか笑(←適当

これまでの作品含めて、森博嗣さんについて語られてます。読んでいて思い出話に浸っているみたいです笑
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数日前に読んだツルネに引き続き、「禅」要素を含むの本との巡り合わせ率が高い3月でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年4月1日
読了日 : 2023年3月31日
本棚登録日 : 2023年3月22日

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