『リリイ・シュシュ〜』が思春期を描いた「陰」の作品なら『花とアリス』は「陽」という印象。
飄々と生きる彼女たちに訪れる何気ない瞬間の表情や、仕草や、感情の揺れ動きが生き生きと切り取られていて、なにか温かい膜に守られているような気持ちになった。輝け青春!(キラーン)的なノリではなく、かといってほんわかした日常系というのでもなく、作品全体が飄々としていてどこか危うげでもある。その絶妙にとらえどころのない外してくる感じが良かった。なんだかだんだん俊二のことが解ってきた気がする!
特に蒼井優は僕がいくつか観た出演作の中では圧倒的に良かった。かなり最高であった。可愛いとか綺麗とかいうのともちょっと違うが、そういう人が確かにそこにいるのだ、という存在の説得力が凄かった。蒼井優は岩井監督がリリイ・シュシュで映画に初出演させたらしいが、さすが魅力をわかっている人が撮ると違う。
わりとフィクションっぽいところも多い話だったが、不思議と主役二人の「そこに存在している」という感じがしっかりとしていて、思わず花とアリスの二人の関係がずっと続いていくことを願わずにはいられなかった。
☆5にするほどガツンと来た何かがあったかというと正直それほどでもという感じもするのだが……いや、あった。あったあった。最後の鈴木杏の泣き顔ドアップとか蒼井優のダンスシーンとか。そういうことです。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
映画
- 感想投稿日 : 2012年4月23日
- 読了日 : 2012年4月22日
- 本棚登録日 : 2012年4月22日
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