-
どんがら トヨタエンジニアの反骨
- 清武英利
- 講談社 / 2023年2月17日発売
- Amazon.co.jp / 電子書籍
- 購入する
個人的に車は好きなので、トヨタとスバルが共同開発した86/BRZ、トヨタとBMWが共同開発したスープラ/Z4は知っていたが、かなり赤裸々な裏話が語られていて興味深かった。素材(内容)自体の面白さに加えて安定した構成力で、安心して読み進められた。
2024年3月18日
-
かもめ食堂 (幻冬舎文庫)
- 群ようこ
- 幻冬舎 / 2020年1月24日発売
- Amazon.co.jp / 電子書籍
- 購入する
そんなに都合良く日本人がいるかなという突っ込みはともかく、フィンランドに行きたくなる人が多いという気持ちは理解できた。
2024年3月10日
-
人生が整うマウンティング大全
- マウンティングポリス
- 技術評論社 / 2024年2月14日発売
- Amazon.co.jp / 電子書籍
- 購入する
とにもかくにも「突っ走り切ること」の重要さを教えてくれる一冊。自分が属しているコミュニティに比較的こういう人が多いこともあって(というマウンティング。笑)、作者の皮肉センスの良さもあいまって、声に出して笑ってしまった箇所も多数あった。
とどのつまり「人生所詮はよくも悪くも広い意味での自己満足」ということだと思うのだが、突っ走った結果、色々な事象がそれらしく見えてくるという不思議な感覚に包まれた。
2024年3月7日
-
ルーヴル美術館の天才修復士 コンサバターIV (幻冬舎文庫)
- 一色さゆり
- 幻冬舎 / 2024年2月8日発売
- Amazon.co.jp / 電子書籍
- 購入する
美術にまつわるミステリー小説のシリーズ最新作ということで、今回はパリのルーブル美術館が主な舞台。ちょうど最近訪問する機会があったので、興味深く読んでいた。
前作でも書いた気がするが、個人的には会話パートはまだるっこしい気もするのだが、「お約束」ということで慣れれば気にならなくなってきたのはシリーズものならではか。
2024年2月24日
-
メイク・バンカブル! イギリス国際金融浪漫 (集英社学芸単行本)
- 黒木亮
- 集英社 / 2023年4月26日発売
- Amazon.co.jp / 電子書籍
- 購入する
世界を股にかけるファイナンス系の経済小説と言えばこの作者というイメージだが、そんな作者の自伝的小説という位置付けのようだ。飛行機が胴体着陸寸前の状況になったり、IRAの爆弾テロの現場に居合わせたりとなかなか普通の人がしない経験をしていて驚いた。
2024年2月12日
-
ほんとはかわいくないフィンランド (幻冬舎文庫)
- 芹澤桂
- 幻冬舎 / 2020年6月11日発売
- Amazon.co.jp / 電子書籍
- 購入する
題名からはもっとズバズバ悪いところを言っていくのかと思いきや、普通にこの国のことが好きなのに無理をして辛口で当たろうとしているようで、何だかなあと思ったら、あとがきで著者自身か同じことを書いていて思わず吹き出してしまった。等身大のフィンランド生活記とでも題するのがちょうど良いのではないかと思う。それだと売れないのかもしれないけど。
2024年2月11日
-
争うは本意ならねど 日本サッカーを救った我那覇和樹と彼を支えた人々の美らゴール (集英社文庫)
- 木村元彦
- 集英社 / 2019年1月18日発売
- Amazon.co.jp / 本
- 購入する
個人的にはあまりサッカーには詳しくなく、この本を読むまでこのようなことがあったということを認識していなかった。一般論としては一方の言い分だけで決めつけるのは慎むべきだと思うが、それにしてもこれはひどいと感じたし、それでもなお少なくない数の人々が良心に従って立ち上がったというのは救いがある話だと思った。
2024年2月3日
-
ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)
- 森見登美彦
- KADOKAWA / 2012年12月25日発売
- Amazon.co.jp / 電子書籍
- 購入する
いかにも森見さんという感じの独特な文体を楽しめた。
2024年1月14日
先の大戦中の民間人の疎開中の悲劇と言えば対馬丸の撃沈事件については知っていたが、本作では、似たように疎開中の船が米軍機に攻撃されて、命からがら尖閣諸島にたどり着き、そこからさらに決死の救助要請を石垣島に呼びに行ったという出来事が取り上げられている。
舞台が尖閣諸島ということでとかく政治的に見られやすいが、声高に主張するのではなく、淡々と事実を積み上げているからこその迫力も感じられたし、尖閣問題を離れたとしても純粋に当時の日本人たちの無私の精神には感動させられた。
2024年1月7日
-
空白の天気図(新潮文庫)
- 柳田邦男
- 新潮社 / 1981年7月1日発売
- Amazon.co.jp / 電子書籍
- 購入する
昭和20年8月6日は日本人なら誰しもが習う日だと思うが、その翌月に強烈な台風が西日本を襲い、上陸した九州よりも広島ではるかに多くの犠牲者を出したことを知っている人は少ないのではないだろうか。
本書は、この時期の広島の気象台の職員に焦点を当てて、極限状態と言って良い状況の中でも、科学的な精神と職業的な使命感に衝き動かされて気象観測を続けた様子を描いている。
とかく「軍国主義」と一言で片付けられがちなこの時期だが、丁寧に見ていくとそのような単純な話では全くないことが改めて分かり、災害大国日本に住む者としては読むべき作品だと思った。
事実関係を掘り起こすだけでも大変な作業だったと思うが、過度な思い入れは入り込んでおらず、すんなり読めるのだが、その一方で重たい事実を突き付けてくるような感じがした。
2023年12月27日
-
コンサバター 失われた安土桃山の秘宝 (幻冬舎文庫)
- 一色さゆり
- 幻冬舎 / 2022年4月7日発売
- Amazon.co.jp / 電子書籍
- 購入する
美術品を題材としたシリーズものということで、今回は日本の狩野派が主題になっていた。教科書の資料集で見た程度の知識しかないので、エンターテインメントとして楽しめたが、会話のパートは何だか見ていてむずむずしてしきてしまった。
2023年12月10日
-
法服の王国――小説裁判官(下) (岩波現代文庫)
- 黒木亮
- 岩波書店 / 2016年1月16日発売
- Amazon.co.jp / 本
- 購入する
取ってつけたように世相に関する記載が挟まれていて、年表を読んでいるような気分にさせられたのはやや興ざめしたが、それ以外は力の入った記述で、個人的な興味もあり一気に読了した。
2023年11月25日
-
トレイルズ 「道」と歩くことの哲学
- ロバート・ムーア
- エイアンドエフ / 2019年8月16日発売
- Amazon.co.jp / 電子書籍
- 購入する
とにかく「道」について深く考えてみた、という不思議な本だと感じた。獣道、という言葉もあるが、それより更に遡って、原生動物の移動するルートのようなところから、現代におけるトレイルの持つ意味まで、かなり哲学的に思索を深めているような内容だった。個人的に、旧道・廃道を辿るYouTuberの動画を見ることがあるのだが、過去の人の営みが封じ込められていて不思議な気分になることがあり、何となくここで書かれていたことに通じるような気もした。
2023年10月29日
-
普通の会社員でもできる日本版FIRE超入門
- 山崎俊輔
- ディスカヴァー・トゥエンティワン / 2021年7月16日発売
- Amazon.co.jp / 本
- 購入する
流行りでとりあえず言っているような本とは異なり、具体的な日本の制度を踏まえて書かれているのは良いと思った。
2023年10月22日
二俣事件を題材にした小説ということで、力のこもった作品だと思ったが、真犯人を推測しているという事情もあるのか、やはり小説の形を取らざるを得なかったのが迫力を弱めているような気がした。
2023年10月8日
-
スギハラ・サバイバル (小学館文庫)
- 手嶋龍一
- 小学館 / 2021年1月9日発売
- Amazon.co.jp / 電子書籍
- 購入する
杉原千畝のことは知っていたし、スギハラ・サバイバーという表現も聞いたことはあったが、サバイバルとはどういうことかと思って読んでみた。結局その理由は良く分かったような分からないようなという感じだったが、ストーリー自体は面白くて一気に読んでしまった。
2023年9月17日
-
地図と拳 (集英社文芸単行本)
- 小川哲
- 集英社 / 2022年6月24日発売
- Amazon.co.jp / 電子書籍
- 購入する
帝国主義時代の最後の50年にわたる大河ドラマ的な小説。色々な登場人物が出てきて、それぞれの「正義」がある、と言いたいのかとも思ったが、それにしては話が拡散し過ぎているような気もした。
2023年9月7日
-
鉄道会社サバイバル トンネルの向こうの光を目指せ
- 佐藤嘉彦
- 日経BP / 2022年12月22日発売
- Amazon.co.jp / 電子書籍
- 購入する
あとがきでも書かれていたが、経済誌の記者さんらしい「硬い」切り口と、鉄道好きだという「私情」とがないまぜになっている感じがしたが、個人的にも鉄道は好きなのでさらさらと読めた。
2023年8月21日
-
ヤモリの慟哭 ~武器をとるミャンマーの若者たち~
- 緒方樹人
- 幻冬舎 / 2023年6月28日発売
- Amazon.co.jp / 本
- 購入する
ご先祖から続く因縁のところはややとってつけたような感じがしなくもなく、本当に必要だったのかなという気もしたが、ともかく、現代のパートは読み応えがあった。
2023年8月20日
-
嵐が丘(下) (光文社古典新訳文庫)
- E・ブロンテ
- 光文社 / 2010年3月20日発売
- Amazon.co.jp / 電子書籍
- 購入する
登場人物が出揃ったこともあるのか、上巻よりも良いペースで読めた。産業革命は起き始めていたとはいえ、まだまだ田舎には恩恵は行き渡っておらず、厳然たる階級がまだ存在する時代背景ということで、当たり前ではあるがプライバシーはないに等しい(何をするにも召使いの手が必要)世界なので、今の基準で考えるべきではないのだろうけど、それでも登場人物のキャラクターがずいぶんと極端で、入り込めないまま読み終えた気がした。
2023年8月20日
-
嵐が丘(上) (光文社古典新訳文庫)
- E・ブロンテ
- 光文社 / 2010年1月20日発売
- Amazon.co.jp / 電子書籍
- 購入する
題名は聞いたことがあるが読んだことはない、という扱いの人が多いのではないだろうか。自分自身もそうだったので読んでみたが、まず登場人物が絡み合い過ぎて把握するのにひと苦労という感じがした。ただ、その点も含めて田舎の人間関係はそういうものなのだろう。
2023年8月20日
-
ふたつの嘘 沖縄密約[1972-2010] (g2book)
- 諸永裕司
- 講談社 / 2010年12月22日発売
- Amazon.co.jp / 本
- 購入する
一般的な知識としての西山事件は知っていたが、家族がどうなったかや、最終的に2000年代になって訴訟が起こされるに至った経緯などについては知らなかった。特に前半の家族に関する部分、なかでも奥さんに関する箇所は、本当に胸が締め付けられた。
2023年8月7日
-
奇跡のバックホーム (幻冬舎文庫)
- 横田慎太郎
- 幻冬舎 / 2022年7月7日発売
- Amazon.co.jp / 電子書籍
- 購入する
個人的にはプロ野球12球団の中では阪神ファンなのだが、社会人になってからはあまりフォローしていなかったため、横田選手についても詳しく知ったのはこの本が初めてだった。
文章からも誠実さが伝わってくるようで、ドラマチックに読ませるというわけではないが、シンプルに時系列で追体験するような感じがして逆に心に沁みた。
阪神というと、外国人選手の獲得では大ポカをやらかしたりで、球団組織としてはどうもポンコツな印象があるのだが、この件では本当に人間味溢れる対応をしてくれていて、思わず見直してしまった。
2023年8月5日
-
アルジャーノンに花束を〔新版〕
- ダニエル・キイス
- 早川書房 / 2015年3月10日発売
- Amazon.co.jp / 電子書籍
- 購入する
多くの人にとって、「名前は聞いたことはあるが読んだことはない」という作品は意外と多いのではないかと思うが、この本もそんな感じではないかと思う。
最初の文章(これも翻訳するのが非常に難しいのだろうと思うが、訳者あとがきにも苦労が語られていて興味深かった)を見た瞬間に正直買わない方が良かったかと思ったが、その後は引き込まれるように一気に読了してしまった。
よくぞこのような筋書きを思い付くなあと思うが、それでも突飛なだけのアイデア倒れで終わっていないと思わせてくれた。
2023年8月3日