悪の教典 上 (文春文庫 き 35-1)

著者 :
  • 文藝春秋 (2012年8月3日発売)
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本棚登録 : 15107
感想 : 1148
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映画が公開されてしまっていたので、すでにどういう内容なのか分かった状態で読み始めました。
ただ、いざ殺人が始まってしまうと、そのあまりのあっけなさに少し戸惑いました。主人公(で良いのでしょうか?)の蓮見が快楽殺人者ではないので、殺人のシーンにカタルシスを感じるような描写がほとんどないことが原因かな、とは思います。
上巻は、混沌としていて、読者だけに知らされる情報と、生徒たちが少しずつ気付いてく不安感がうまくミックスされていたように思います。
「こいつを始末しなくては」から「始末する」がとても短く、読み手であるこちらがその意味や意図を理解する前にアクションが起こってしまうため、蓮見の行動をすべて知らされているにも関わらず、置いてけぼり感を味わうのは、言葉は悪いですが楽しかったです。
内容というか、扱っているもの自体はもちろん気味は悪いのですが、読み手を飽きさせない、という点においてはエンターテイメント小説だなと感じました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 和書(か行)
感想投稿日 : 2012年11月19日
読了日 : 2012年11月19日
本棚登録日 : 2012年11月19日

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