海潮音―上田敏訳詩集 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1952年12月2日発売)
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感想 : 56
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見事、としか言いようのない。創作の域に達していると言われるだけの名訳。確かに文語調と言うか古語に類するものもあり、最初は言葉の意味を検索しながら読まざるを得なかったが、それでも心動かされる文が多い。
元の文は残念ながら殆ど読んだことがなく、フランス語のもの等は読めもしないが、文のテーマの深さに驚かされる。世の無情、人の非情さを歌ったものや、人の思いの深さを歌ったものが多く、読んでよかったと思えた。
「それ人間も、残害の徒も、餌食等も、
見よ、死の神の前にして、二つながらに罪ぞ無き。」
「人の住むこの現世に 、 誰かまた思ひあがりて、同胞を凌ぎえせむや。
其日より吾はなべての世の人を愛しそめけり。」
読んだあと、しばしため息をつかざるを得ない感じであった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2023年8月13日
読了日 : 2023年8月13日
本棚登録日 : 2023年6月7日

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