黒い家 (角川ホラー文庫 45-2)

著者 :
  • KADOKAWA (1998年12月10日発売)
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本棚登録 : 15134
感想 : 1672
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【感想】
物語の序盤から中盤にかけては、「日常に潜む人間の怖さ」がテーマでした。
菰田重徳が何を考えているのか全然わからず、また不気味さも相まって、「もしかすると自分も運が悪ければこのようなトラブルに巻き込まれてしまうのでは?」といった身近な恐怖を感じました。
狂っている人間ほど怖いものはないなと、読んでいてガクブルしていました。

ただ終盤は、もはや人間ではなく、モンスターと化した菰田幸子との戦いに。
物語のジャンルも、もはや「ホラー」ではなく「モンスターパニック」になりました。
こうなったら、もはや読んでいて怖くも何ともありません。だって、コメディですもの。笑
(余談ですが、菰田幸子の垣間見せるタフネスさは、RIKAを彷彿とさせますね。)

警察の無能さ、無関心も、少々オーバーすぎるだろとツッコミながら読んでいました。
あれだけ証拠が出揃っていたらいくら何でも動くだろう。笑
主人公を孤立無援にさせるための演出ではあると思いますが、「犯罪に対して、さすがにここまで無能で無関心な警察なんかいねーよ!」とツッコミました。

物語自体の構成はかなり面白かったのですが。。。
作中のホラー要素を訴求するあまり、終盤は一気に安物のホラー作品になっちゃいました。
コメディ要素がなければとても面白かった作品でしたが、、、残念です。



【あらすじ】
顧客の家に呼ばれ、子供の首吊り死体の発見者になってしまった保険会社社員・若槻は、顧客の不審な態度から独自の調査を始める。 それが悪夢の始まりだった。 第4回日本ホラー小説大賞受賞。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年8月30日
読了日 : 2020年8月30日
本棚登録日 : 2020年8月30日

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