ハゲタカ2(上) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2007年3月15日発売)
4.07
  • (396)
  • (468)
  • (282)
  • (13)
  • (2)
本棚登録 : 2713
感想 : 228
5

【感想】
ドラマの批判はあまりしたくないが、サムとリンは「ハゲタカ」シリーズでMUSTのキャラクターなんだよなー。
リンの冷静さ(冷徹さ?)とオシャレな言い回し、そして垣間見せるパッションは本当に素敵。
また、サムの全てを見通しているプロフェッショナルさと、たまに見せる政彦への気遣いはキャラクターとして本当に魅力的。

アランがこの物語を降りたのは残念だったけど、、、
本当におもしろかった。

外資のドライさもそうだけど、国内企業の執着心というかドロドロさがある意味リアルな作品。


p307
鈴ホウの岩田会長
「なぜ人間というのは、かく生きたいと思ったように生きることができないのか。それを煩悩と呼ぶのは簡単だが、それでは余りに無責任だ。」
芝野はかけるべき言葉が見つからなかった。
また、岩田もそれを望んでいないように見えた。
「人間は堕落する。義士も聖女も堕落する。
それを防ぐことはできないし、防ぐことによって人を救うことはできない。
人間は生き、人間は堕ちる。」


p327
鷲津は祖父から「なにわの商人」のビジネスを伝授されていた。
「大事なことは、最後に勝てばええってことや。最初はわざと負けて相手の財布を広げさせて、最後で獲ればよろしい。ガツガツしたもんは必ず負ける。」


p330
ニューヨーク7番街のバイヤーを「ハンドラー」と呼ぶ。
ハーバードやエールなどでMBAを修めて大企業のカリスマ的経営者となった者の何人かは、この「ハンドラー」を経験している。
彼らはこの街で、殴られ蹴られても1セントでも利益を生み出すための努力とネゴシエーションを体で覚えていく。


p338
「あなたのたまに(sometimes)は、限りなくしばしば(often)に近い」
ジョークを言わないサムにしては、中々のユーモアだった。


p373
・押し込みなどの「ベルボックス」について
「ババ抜きみたいなもんですよね、これは。まるで一子相伝のように社長にだけ耳打ちされる社内の秘密。それが秘伝の技術や勝つための秘法であれば嬉しいですが、聞きたくもないとんでもない負の遺産ばかり。社長は冷や冷やしながら在任期間を過ごす、どうかバレませんようにと…そしてそれが爆ぜた時には、その時のトップが全ての罪をかぶる。」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2018年8月25日
読了日 : 2018年8月25日
本棚登録日 : 2018年8月25日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする