幸せになる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教えII

  • ダイヤモンド社 (2016年2月26日発売)
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【感想】
アドラー心理学の関連書籍の中でも、ベストセラー本である「嫌われる勇気」の続編。
前作と同じく、「哲人」と「青年」の対話形式で物語は進んでいきます。

内容に入る前に・・・・
前作からとても疑問に思っていたのですが、そもそもこの「哲人と青年の対話」って必要なんですか??
かなり失礼ですが、、、僕は前作の時からこの「青年」が生理的に大嫌いです(笑)
絶望的なくらいヒステリックで、何でもかんでも人やモノのせいにしていて、発する言葉の1つ1つがいちいち演劇チックで・・・
なぜこんなに戦闘モード全開なのか分かりません(笑)
そもそも、これが人に教えを乞う者の態度なのかと思ってしまい、読んでいるだけで舌打ちしてしまいそうになります。
「この2人のやり取りが蛇足だ」と感じる点が本シリーズ唯一の欠点だと、個人的には思っています。

さて、本題に入ります。
本書で書かれていたことは、大きく分けるとこの3点かと思われます。
1つ目は、「自分⇒他者への視点や干渉を、どう保つのか」ということ。
2つ目は、「他者⇒自分への視点や干渉を、どう感じるか」ということ。
3つ目は、「他者とは競争するのではなく協力する」ということ。

1つ目の「自分⇒他者」に関しましては、「他人をイチ個人として尊敬しましょう」という一言に尽きるかと思います。
勿論、他人をおだてるであったり畏敬するという意味ではなく、「フラットな目線で接する事」が大切です。
考えてみれば、人と人に優劣をつけるなんて、中々できませんよね。
自分自身、ある人に対して「この人よりも自分の方が優秀だ」と思う事が多々ありますが(汗)、結局のところ色んな目線で見れば僕がその人に負けている箇所も多数あるわけで、「人」としての優劣なんてどうやっても付ける事なんて出来ないし、しちゃいけないですよね・・・
こういった考えをもって、誰に対しても相手を尊敬した上での「フラットな目線で接する事」を、これからも心掛けていきたいと思いました。

2つ目の「他者⇒自分」に関しましては、以前読んだ「反応しない練習」(草薙龍瞬 著)という本と通ずるものがあったなと思いました。
そもそも、「他者の課題」や「他者の意見」に関して、なかなか自分でコントロールできるものではありません。
ですので、他人の目ばかりを気にせず、また他人からの承認も求めず、他者の課題に介入せず、我が道を行こう!!ってことが大切なんですよね。
まぁ、社会で生きている以上、それをそっくりそのまま実行するなんて中々できませんが、、、要するに他人の目ばかり気にせずに、しっかりと自分の意志の元に生きていく強さを持つことの重要性を再認識しました!

3つ目の「競争⇒協力」について、これに関しては頭でわかっても、中々実行するのは難しいなと思いました・・・
「誰かに勝つ必要なんてない」
「WIN-WINがBEST!」
そういう言葉もよく理解できるのですが、趣味のバスケットボールであったり、仕事で競合他社とのコンペがあった際など、意図せずとも「WIN-LOSE」になってしまうわけで・・・
スポーツや仕事には勝敗が存在するわけですので、綺麗事を言ってられない感もあります。
ですので、妥協案として、「相手への最大限の敬意を持つ」ということで、なんとか腑に落とそうと思います(笑)

最後に、タイトルにもある「幸せになる勇気」という言葉。
上記3項目にも書いてありますが、幸せになるには「他者」との何らかのセッションが必要とされ、自分自身が努力する事すなわち「勇気」が求められるとの事らしいです。
何を幸せと定義するかはその人次第なのでしょうが、、、
安らかなで健全な人生を送る上で、他者への敬意、他者に対する自身の反応、そして協力といったものは確かに大切だと思いました。

いや、本当にアドラー心理学って奥が深いですね。
今度は、アドラー心理学についてもっと掘り下げた内容が書かれてある本を読みたいなと思います。


【印象フレーズとアクションプラン】
・他者の目で見て、他者の耳で聴き、他者の心で感じる。他者への最大級の尊敬を払わなければならない
⇒決して周りを見下さずに、尊敬の念を忘れずに接してみる。


【内容まとめ】
0.共同体感覚
社会への関心。社会を形成する他者への関心。
必要なのは、「他者の目で見て、他者の耳で聴き、他者の心で感じること」。
ひとりの人間であるからこそ、最大級の尊敬を払わなければならない。
見下すのではなく、仰ぎ見るのでもなく、媚を売るのでもなく、対等な存在として接すること。

1.課題の分離
人生のあらゆる物事について、「これは誰の課題なのか?」という観点から、「自分の課題」と「他者の課題」を切り分けて考える。
「他者の課題」に関しては自分にコントロールできるものではないので、むしろ構わなくて良い。
他者からの評価ばかりを気にせず、他者からの承認も求めず、他者の課題に介入せず、ただ自らの信じる最良の道を選ぶ。

2.尊敬からはじめよ。
あらゆる対人関係の土台は、相手への尊敬によって築かれる。
尊敬とは「ありのままにその人を見る」こと。目の前の他者を変えようとも操作しようともしない。「ありのままのその人」を認めること。

3.「競争原理」ではない「協力原理」
競争のあるところ、駆け引きが生まれ、不正が生まれます。
誰かに勝つ必要などない。
他者と競争するのではなく、他者との協力を第一に考える。

4.承認には終わりがない。
他者から褒められ、承認されて、その「価値」を実感することはあっても、そこで得られる幸せもまた一時的なものでしかないため、それは「ぜんまい仕掛けの人形」と変わらない。

自らの意思で、自らを承認すること。
自らの価値は、自らが決定すること。

特別でなくて良い。普通で良い。「その他大勢」としての自分を受け入れましょう。
「人と違うこと」に価値を置くのでなく、「わたしであること」に価値を置くこと。

5.運命とは、自らの手で作り上げるもの。
人生というダンスホールの壁際に立って、ただ踊る人たちを傍観しているだけでは勿体ない!
そばにいる人の手を取り、今の自分にできる精一杯のダンスを踊ってみる。運命は、そこからはじまるのです。

6.幸せになる勇気
我々は他者を愛することによってのみ、自己中心性から解放されます。自立を成し得ます。
そして、共同体感覚に辿り着くのです。



【引用】
第1部 悪いあの人、かわいそうなわたし
第2部 なぜ「賞罰」を否定するのか?
第3部 競争原理から協力原理へ
第4部 与えよ、さらば与えられん
第5部 愛する人生を選べ


p30
アドラー心理学は「科学」ではなく、「宗教」でもなく、「哲学」である。
哲学とは、永遠に歩くより、生きる「態度」である。


p33
・課題の分離
人生のあらゆる物事について、「これは誰の課題なのか?」という観点から、「自分の課題」と「他者の課題」を切り分けて考える。
「他者の課題」に関しては自分にコントロールできるものではないので、むしろ構わなくて良い。

他者からの評価ばかりを気にせず、他者からの承認も求めず、他者の課題に介入せず、ただ自らの信じる最良の道を選ぶ。


p42
・尊敬からはじめよ。
あらゆる対人関係の土台は、相手への尊敬によって築かれる。
尊敬とは「ありのままにその人を見る」こと。
目の前の他者を変えようとも操作しようともしない。「ありのままのその人」を認めること。
これに勝る尊敬はありません。


p49
・共同体感覚
社会への関心。
社会を形成する他者への関心。

必要なのは、「他者の目で見て、他者の耳で聴き、他者の心で感じること」。


p57
ひとりの人間であるからこそ、最大級の尊敬を払わなければならない。
見下すのではなく、仰ぎ見るのでもなく、媚を売るのでもなく、対等な存在として接すること。
勿論、彼らの興味関心に共感を寄せながら。

まずは自分からその行動を開始しましょう。
そうすれば、おのずと勇気や尊敬は“伝染”していくものです。
あらゆる対人関係の第一歩は、そこになります。


p73
「悪いあの人」「可哀想な私」ではなく、「これからどうするか?」を語り合おう。


p122
・常に「自立」という目標を掲げておく。
我々は、「他者の指示」を仰いで生きていた方が楽なのです。結果、「自分では何も決められない人間」になってしまう。

マネジメントする立場の人間は、常に「自立させる」という目標を掲げること。
自分の人生は、日々の行いの一つ一つは、すべて自分で決定するものなのだと教えること。
そしてそれらを判断する材料、知識や経験などが必要な場合は、それを提供すること。

子ども達の決断を尊重し、その決断の援助をする。
いつでも援助する用意があることを伝え、近すぎない、援助ができる距離で、見守ること。


p139
・「競争原理」ではない「協力原理」
競争のあるところ、駆け引きが生まれ、不正が生まれます。
誰かに勝つ必要などない。
他者と競争するのではなく、他者との協力を第一に考える。
賞罰をやめ、競争の芽を一つずつ摘んでいくこと。


p151★
・承認には終わりがない。
他者から褒められ、承認されて、その「価値」を実感することはあっても、そこで得られる幸せもまた一時的なものでしかない。
ぜんまい仕掛けの人形と変わらない。

依存→自立へ。
自らの意思で、自らを承認すること。
自らの価値は、自らが決定すること。

特別でなくて良い。普通で良い。
「その他大勢」としての自分を受け入れましょう。
「人と違うこと」に価値を置くのでなく、「わたしであること」に価値を置くこと。


p180
・「信用」と「信頼」
信用とは、「相手のことを条件付きで信じること」
信頼とは、「他者を信じるにあたり、一切の条件をつけないこと」


p240
・自立とは、「わたし」からの脱却なのである。
我々は生まれてからずっと「わたし」の目で世界を眺め、「わたし」の耳で音を聞き、「わたし」の幸せを求めて人生を歩みます。これはすべての人がそうです。
しかし、本当の愛を知ったとき、「わたし」だった人生の主語は「わたしたち」に変わります。
利己心でなければ利他心でもない、新しい指針の下に生きることになるのです。


p267
運命とは、自らの手で作り上げるものなのです。
人生というダンスホールの壁際に立って、ただ踊る人たちを傍観しているだけでは勿体ない!
そばにいる人の手を取り、今の自分にできる精一杯のダンスを踊ってみる。
運命は、そこからはじまるのです。


p272
・幸せになる勇気
我々は他者を愛することによってのみ、自己中心性から解放されます。自立を成し得ます。
そして、共同体感覚に辿り着くのです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 名作(再読の価値がある本)
感想投稿日 : 2020年6月25日
読了日 : 2020年6月25日
本棚登録日 : 2020年6月25日

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