エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする

  • かんき出版 (2014年11月19日発売)
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【感想】
より少なく、しかしより良く。たくさんのどうでもいいことより、数少ない本質的なことを全力で追求しよう。

この本の内容を一言でいえば、「THE 生産性」です。
「業務における大多数の仕事は無価値である」という前提の元、「本当に重要なモノは何か?」というトレードオフを行ない、要る業務・要らない業務を取捨選択する。
そして、選ばれた生産性の高い業務に注力する事でパフォーマンスをアップさせようというのがエッセンシャル思考という考えの根本にあるものだと読んでいて思いました。
僕も職場でもよく「選択と集中」という言葉を上役から言われるのですが、エッセンシャル思考とはその考えの最たるモノだなーと思いました。
(ちなみに僕の職場では「選択と集中」という言葉が先行しているだけで名前負けしており、”沢山のどうでもいいこと”に職務時間を奪われまくっています。笑)

成程たしかに、無駄な業務を一切行わず、何に注力するかを選定した上で業務に取り掛かれば、かなり効率がよくなるのは言わずもがなですよね。
また、自身の仕事をある程度絞ってシンプルにした方が、その分クリアにかつ真摯に業務と向き合えるので、良い結果を残せる事になるとも思います。
ただ、その考え方はあくまで理想論であって、エッセンシャル思考を究極に突き詰める事は現実的には不可能に近いことなのではないか?という疑問も浮かびます。
仕事をする上で、予想をしていないトラブルに見舞われる事なんて多々ありますし、自身の指針に相反する業務なんて日常茶飯事ではないでしょうか?
そう考えると、些か現実的ではないのかもしれないなーと思ってしまします。

そもそも、無駄を削ぎ落したその先には、あまりにも味気ない現実が待っているのでは?
何でもかんでも安請け合いするのはよろしくはありませんが、、、雑談や無駄の中から新しいビジネスチャンスやキャリアビジョンが生まれてくるものだと僕は信じています。
個人的には、「エッセンシャル思考」を鵜呑みにしすぎず、適度な「選択と集中」を行なって仕事をしていきたいと思いました。

とまぁ、若干自論が続き、否定的な印象を与えてしまったかもしれませんが・・・
「エッセンシャル思考」という概念そのものはかなり素晴らしい考え方であり、読後も考える材料の尽きない読み応えのある良書でした。
ただ、若手社員は読まない方が良いかも(笑)
色んな意味で、かなりオススメの1冊です。


【内容まとめ】
1.「より少なく、しかしより良く」
エッセンシャル思考の人は、適当に全部やろうとは考えない。
トレードオフを直視し、何かをとるために何かを捨てる。
たくさんのどうでもいいことより、数少ない本質的なことを全力で追求しよう。

2.エッセンシャル思考を身につけるためには
「やらなくては」ではなく「やると決める」
「どれも大事」ではなく「大事なものは滅多にない」
「全部できる」ではなく「何でもできるが全部はやらない」
この3つが私たちを混乱から救い出してくれる。

3.ノイズ:大多数のものは無価値である。
万物の大半は殆ど価値がなく、殆ど成果を生まない。少数のものだけが非常に役立ち、大きな影響力を持つ。

努力は大切だ。真面目に働けば成果は上がるし、困難にも対応できるようになる。
だが、そこには限界があるはずだ。
これ以上労働時間を増やして、本当に成果が上がるのだろうか?やることを減らした方が、生産性が上がる場合もあるのではないか?
がむしゃらに頑張るよりも、「より少なく、しかしより良く」努力したほうがいい。

4.トレードオフ:何かを選ぶことは、何かを捨てること。
見極めることこそが、エッセンシャル思考の真髄だ。
非エッセンシャル思考の人は、あらゆる話に反応し、何でもとりあえずやってみる。
多くのことに手を出すが、すべて中途半端な結果しか得られない。
エッセンシャル思考の人は、何かに手を出す前に、幅広い選択肢を慎重に検討する。
そして、「これだけは」ということだけを実行する。
行動を起こす数は少ないが、やると決めたことについては最高の結果を出す。

5.「絶対にイエスだと言い切れないなら、それはすなわちノーである。」
これほどエッセンシャル思考を端的に表した文章はない。
非エッセンシャル思考の人は、周囲の期待やプレッシャーに負けて、不本意なイエスを言ってしまう。
よく考えもせず、相手を喜ばせるためだけに仕事を引き受ける。単純に、その方が気分がいいからだ。
一方、エッセンシャル思考の人は、そうした気分の良さが長続きしないことを知っている。
一瞬の満足の後でやってくるのは、深い後悔だ。

6.エッセンシャル思考を生きることは、後悔なく生きると言うことだ。
本当に大切なことを見極め、そこに最大限の時間とエネルギーを注げば、後悔の入り込む余地はなくなる。
「本当に重要なのは何か?」
それ以外のことは、全部捨てていい。



【引用】
「より少なく、しかしより良く」
たくさんのどうでもいいことより、数少ない本質的なことを全力で追求しよう。


p15
・エッセンシャル思考を身につけるためには
「やらなくては」ではなく「やると決める」
「どれも大事」ではなく「大事なものは滅多にない」
「全部できる」ではなく「何でもできるが全部はやらない」
この3つが私たちを混乱から救い出してくれる。


p20
「何もかもやらなくては」という考え方をやめて、断ることを覚えたとき、本当に重要な仕事をやり遂げることが可能になる。

忙しすぎてすり減っていると感じることはないか?
働きすぎなのに成果が出ないことはないか?
常に走り続けているのに、どこにも辿り着けないことはないか?
そのような人は、エッセンシャル思考を試したほうがいい。


p21★★
エッセンシャル思考とは、「より少なく、しかしより良く」を追求する生き方。
たまにそうするのではなく、絶えずそうすべく問い続けるのがエッセンシャル思考の生き方である。

エッセンシャル思考の人は、適当に全部やろうとは考えない。
トレードオフを直視し、何かをとるために何かを捨てる。


p39
エッセンシャル思考とは、人生のクローゼットを整理する仕組みのことだ。
思いきって一度やれば終わりというものではないし、月に一度のイベントでもない。
クローゼットを綺麗に保つには、そもそも散らからない仕組み作りが不可欠だ。
つまり、仕事や用事を頼まれる度に、イエスかノーかを正しく決めることが必要だ。


p58★
・「ノイズ」大多数のものは無価値である。
万物の大半は殆ど価値がなく、殆ど成果を生まない。少数のものだけが非常に役立ち、大きな影響力を持つ。

努力は大切だ。
真面目に働けば成果は上がるし、困難にも対応できるようになる。
だが、そこには限界があるはずだ。
これ以上労働時間を増やして、本当に成果が上がるのだろうか?
やることを減らした方が、生産性が上がる場合もあるのではないか?
がむしゃらに頑張るよりも、「より少なく、しかしより良く」努力したほうがいい。


p66
エッセンシャル思考の人は、たっぷりと時間をかけて選択肢を検討する。
やるべきことを正しく選べば、その見返りはとてつもなく大きいことを知っているからだ。
エッセンシャル思考の人は、多くをやらなくて済むように、多くを吟味するのである。


p68★
・「トレードオフ」何かを選ぶことは、何かを捨てること。
戦略には選択とトレードオフがつきものだ。
独自性を意図的に選び取るのである。

どちらかを諦めるしかない。
すべてを同時に行えると過信すれば、少なくとも一方は遅れる。(もしくは低品質になる。)
何かに「イエス」という事は、その他すべてに「ノー」という事なのだ。


p82★
非エッセンシャル思考の人は、あらゆる話に反応し、何でもとりあえずやってみる。
多くのことに手を出すが、すべて中途半端な結果しか得られない。

エッセンシャル思考の人は、何かに手を出す前に、幅広い選択肢を慎重に検討する。
そして、「これだけは」ということだけを実行する。
行動を起こす数は少ないが、やると決めたことについては最高の結果を出す。

見極めることこそが、エッセンシャル思考の真髄だ。


p102
・ジャーナリストの目を手に入れる。
日々出会う情報はあまりに膨大で、とてもすべてを調べることはできない。
大局を把握して、不要なノイズの中から本質を見抜く必要がある。

1.日記をつける。
人は忘れやすい生き物だ。その点、日記は脳のバックアップ装置である。
日記を継続し、数ヶ月ごとに読み返し、大きな流れを把握しよう。

2.現場を見る。
本質は現場じゃないと気づけない可能性が高い。
イシューは何か?
答えは現場で自分自身の目で見つけること。

3.問題を明確にする。
曖昧な質問や曖昧な回答は、さらなる曖昧さを生み生んで、誤解と無理解の悪循環をもたらす。
まずは、自分の質問を明確にしよう。
問題の本質は何か?
何を解決しなくてはならない?
そのために何を決める?


p140★
「絶対にイエスだと言い切れないなら、それはすなわちノーである。」
これほどエッセンシャル思考を端的に表した文章はない。


p148
・多数の瑣末なことを容赦なく切り捨てる。
「絶対やるべきこと」を決めるのがエッセンシャル思考の第一歩として、その次は「やらなくてもいいこと」をきっぱりと捨てなくてはならない。

だが、人は自分が所有しているものを実際より高く評価しがちである。
その場合は、「これをまだ持っていなかったら、今からお金を出して買うだろうか?」と考えてみたらいい。

仕事や人生の決定打となるブレイクスルーは、不要なものを切り捨てることから始まるのだ。


p162
・断固として上手に断る
「それはいいね!埠頭でディナーとは、最高だろうな!」
だがその時、父親はこう続けた。
「でも今夜は駄目なんだ。シンシアと特別なデートの約束をしているものでね。そうだろう?」
父親はシンシアにウインクし、そっと手をとって歩き出した。
会場をあとにした2人は、サンフランシスコで一生忘れられない夜を過ごしたのだった。


p170
非エッセンシャル思考の人は、周囲の期待やプレッシャーに負けて、不本意なイエスを言ってしまう。
よく考えもせず、相手を喜ばせるためだけに仕事を引き受ける。
単純に、その方が気分がいいからだ。

一方、エッセンシャル思考の人は、そうした気分の良さが長続きしないことを知っている。
一瞬の満足の後でやってくるのは、深い後悔だ。

この罠から抜け出すには、きっぱりと、しかも上手にノーと言う技術が不可欠だ。


p196★
・「編集」余剰を削り、本質を取り出す。
ただNoと言うだけなら3歳児でもできる。
重要なのは、「減らしながら価値を増やす」こと。
自分の仕事や生き方を編集すれば、その成果をより一層高める事ができる。
本当に重要なことにエネルギーを集中できるからだ。
余分なものを削ってこそ、重要なものを生かす余地が生まれる。


p198
・編集の4原則
→削除する
→凝縮する
→修正する
→抑制する


p294★★
エッセンシャル思考を生きることは、後悔なく生きると言うことだ。
本当に大切なことを見極め、そこに最大限の時間とエネルギーを注げば、後悔の入り込む余地はなくなる。
「本当に重要なのは何か?」
それ以外のことは、全部捨てていい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 名作(再読の価値がある本)
感想投稿日 : 2020年10月21日
読了日 : 2020年10月21日
本棚登録日 : 2020年10月21日

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