百年の孤独

  • 新潮社 (1999年8月1日発売)
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山々や草原の中を走る、多くの支流を作り蛇行しながら密林の中を流れていくアマゾン川のような濁流を丸木舟で流されていく。魔術が霧のようにたちこめ、プランテーション、内戦、ストライキなどが襲いかかる。死者は亡霊として漂い、ゾラのように名を継ぐ者の中にもよみがえる。それが南米なのだ。繰り返される同じ名前に幻惑されつつ圧倒的な物語の力に時間の経つのも忘れた。電車の中では吊革に掴まりながら読み、家に帰ると寝食を忘れて読んだ。最後の行を読み終えた時、戦慄が走った!再読する時にはあちこちに散らばっている宝石を拾いたい。

思えば数年前に松丸本補でこの本の存在を知った。マルケスが亡くなったのを機に読んでみたが今が読む時だったようだ。「やし酒飲み」や「カリブ海偽典」(まだ読んでる)、旧約聖書、ゾラのルーゴンマッカール叢書に似ている。ナボコフの意地悪さにも慣れていたから溺れずにすんだと思う。面白いのが一族の誰もが主人公とも考えられるところ。今回読んでて大佐が主人公だとは思ったけど。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 南米文学
感想投稿日 : 2014年4月22日
読了日 : 2014年4月22日
本棚登録日 : 2014年4月22日

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コメント 1件

淳水堂さんのコメント
2014/09/24

お邪魔します。
百年の孤独はまさに寝食を忘れますよね。
>一族の誰もが主人公
>大佐が主人公だとは思ったけど。
私も最初に読んだときはウルスラや大佐の印象が強くこの二人はそれぞれこの話の中心かと思っていたのですが、二度目に読んだら大佐は2/3で退場、ウルスラは晩年呆けてあまり稼働していなかったんですね。
でもやっぱり冒頭から出てきているこの二人は格別。特に大佐の死んだ時の喪失感といったら。

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