ファウスト(二) (新潮文庫)

  • 新潮社 (1968年2月27日発売)
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感想 : 82
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『ファウスト 第二部』は「つめこみすぎ」という感想になる。特に「古典的ヴァルプルギスの夜(第2幕)」が長すぎて、「ギリシャ神話のキャラクター」が数多く登場し、主人公ファウストまで消えてしまう場面が続く。

ただ、ゲーテは「ファウスト伝説」を研究し、それをアレンジして再現している。

1.ファウストのモデルは「ゲオルク・ファウスト」という実在した錬金術師。錬金術の研究に失敗して、彼は爆死してしまう。『ファウスト 第二部』でも、爆発でファウストが気を失う場面がある。

2.様々な「ファウスト伝説」のうち、「ファウストはギリシャ神話の美女ヘレネーと結ばれ、息子が生まれる」という内容の話があり、ゲーテはこれも採用している。ヘレネーの侍女たちは「合唱隊」であり、これは古代ギリシャ劇の「コロス(合唱隊・コーラス)」を意識したらしい。

3.「ファウスト伝説」は「ファウストの勝利」、もしくは「メフィストーフェレスの勝利」で終わるなど、様々な結末がある。ゲーテの場合は「二重のギャンブル」で決着をつけた。

『ファウスト 第一部』で魔法の薬によって若返ったファウストも百歳になり、現在ではなく未来を想像して満足し、「とまれ、お前はいかにも美しい」と言って死ぬ。メフィストーフェレスは「ファウストとのギャンブル」に勝利したが、ファウストは彼の力で堕落して死んだのではないから「神とのギャンブル」に敗北してしまう。

そのためメフィストーフェレスはファウストの魂を手に入れることに失敗し、天使や聖者、かつての恋人グレートヒェンがファウストを救済して物語は終わる。

……神様はずるい。

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感想投稿日 : 2013年4月7日
読了日 : -
本棚登録日 : 2013年4月7日

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