火の鳥 2未来編 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (1992年12月8日発売)
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本棚登録 : 1082
感想 : 80

西暦3403年。環境破壊で地球は荒れ果て、人類は巨大なメガロポリスを地下に形成し生活していました。最後に残った5つの都市もマザーコンピューター「ハレルヤ」の命令で互いに争い、核爆弾を使い合って消滅してしまいます。何とか動物を作り出そうと実験を繰り返す猿田博士の努力もむなしく、成功に終わることはありませんでした。たった一人生き残った主人公マサトは、火の鳥に永遠の命を授けられ、壊れゆく地球の行く末を見守ることに…。震災で放射能の目に見えない恐さに触れた今読むと、とても恐ろしいです。

人為的に生命を作り出すことが、どれだけ難しいのか。
永遠に生きるとはどういうことなのか。

何万年も生きる中でマサトの体は消滅し、意識だけが残り、コスモゾーン(宇宙生命体)になっていきます。神の様な存在になっても彼自身が生命体を作ることは叶いませんでした。地球では、全ての生命体が一度滅亡したと思われた後、また古代の生命体が誕生し、過去をなぞる様にその進化が続きます。哺乳類が再び誕生するシーンではマサトと一緒になって感動していました(笑)繰り返される時間でニーチェの永劫回帰を連想しましたが、一部の登場人物が輪廻転生をしているからまた違うんでしょうか。

黎明編→未来編の時間軸だと思っていたので、ラストまさかの未来編→黎明編の流れに本当に吃驚しました。ということは猿田彦が蜂に刺されたせいでその子孫の猿田博士の鼻も大きかったというわけでは無いんですね!!猿田博士が鼻が大きかったから、黎明編の猿田彦も蜂に刺されて鼻が大きくなったんですね…!!輪廻転生恐すぎます…!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2012年12月31日
読了日 : 2012年12月23日
本棚登録日 : 2012年12月23日

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コメント 2件

まろんさんのコメント
2013/01/01

歴史に残る名作ですよね!

人の世の無常とか、人間の業とか、いろんな問題を突きつけられて
初めて読んだときには、ショックの余り熱を出しながら読み漁ったものです。
そうそう、未来編から黎明編につながる構成にも、本当に驚かされました!
壮大なスケールで世界を俯瞰しながら、ちいさな人間のささやかな営みも丁寧に描く、
手塚治虫さんは、本当にすごい漫画家でした。

きりんさんのコメント
2013/01/10

まろんさんコメントありがとうございます!
そして遅ればせながら明けましておめでとうございます(*^^*)
去年はまろんさんのおかげで素敵な本に出会うことができました♪
こちらこそ今年も素敵なレビューを読めるのを楽しみにしております…!

実は近々手塚治虫記念館に行くことになりまして、火の鳥は読んでおいたほうがいいだろうと
軽い気持ちで手にとったのですが…あっという間に壮大な世界観に飲みこまれました…!
大きな歴史の中で人間一人一人の存在がどれだけ小さなものか思い知らされると同時に、
短い一生の中で生きる意味とは何なのか、深く考えさせられました…。
もっと思春期の頃から読んでおけば…(>_<)笑 
今この漫画に出会えたことに感謝してじっくり読み進めていこうと思います!

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