短編4部作ですが、表題となっている殺人出産が3/2位あり、他の3作品が少し短く感じます。
作中では生と死、恋愛や家族・性的指向の在り方などが今の常識とは違う一方で、有り得なくはない世界観が展開されています。
表題作の殺人出産は人口減少を食い止めるため、10人産んだら1人殺めることができるというシステムが構築された世界で生きている主人公と、その周囲の人達とのやり取りが絶妙に興味深いです。
今の常識としては殺人はしてはならない罪であり、出産とは切り離されています。また、人口減少が進んでいます。作中のシステムは合理的といえば合理的なのですが、そこまで強い殺意といった感情を抱き続けられるのかな…と考えてしまいました。
個人的に気に入ったのは3作目の清潔な結婚です。こちらは性的指向の多様化を題材にしていますが、消滅世界と似ている流れであり、事前にそちらの作品を読んでいた場合は内容が理解しやすいと思います。実際に夫婦間で性指向が相手に向かない場合もあり、今の状況に近いのかなと。
ただ、人工授精以外の先進医療の方法の描写を読んでいる時に笑ってしまいました。高尚な体験と表現されていますが、このやり方は主人公たちにとって理解しにくいものではないか…と感じました。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2024年1月22日
- 読了日 : 2024年1月22日
- 本棚登録日 : 2024年1月8日
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