文字渦 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2021年1月28日発売)
3.44
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本棚登録 : 951
感想 : 45
4

12短編。
「文字渦」
「緑字」
「闘字」
「梅枝」
「新字」
「微字」
「種字」
「誤字」
「天書」
「金字」
「幻字」
「かな」

ん? 中島敦「文字禍」? いや「もじうず」!?

あらかじめ、こりゃ歯が立たんだろうと感じたので、まずはネットで感想や評論を漁った。
あまり読み込まないようにしながら、短編一作ずつ分けて言及しているものを探し、evernoteにコピペ。
ざっくり感想というか所感を書いている記事、逐語的にあらすじをまとめている記事、丁寧に解説してくれている記事、と分けた。
各短編を読む前に、記事内検索を駆使して、ざっくり所感を読んだ上で、短編を読んだ後、逐語的あらすじで思い出し、しこうして丁寧解説を読み、と集合知の手助けを得ながら読んだ。
感想。面白い!(小並感)

で済ますのも自分にとってもったいないので少し感想を書くが、そういう本の読み方(コピペとか検索とか)も包括するような内容が、まさに書かれていると感じた。
文字の戦い、漢字とかなの領地を巡る戦争とか。……神経系が人間の寄生生物だという発想があるが、文字も人間に仕えるふりをして人間を侵略している。縦軸。
縦軸から限りなく横軸に近い、ここ数十年の話題として、(木簡→)紙→フレキシブルディスプレイ=帋。
そのタイミングに草書→行書→楷書といった書体の変遷、UnicodeやテキストデータやIMEや、文字と情報のかかわりがゴタゴタして、そのへん理系の人なら判るんだろうなと憧れてしまう。
わかることと、わからないところと。
先行作品としては、「プロローグ」「エピローグ」ともつながっている。はず。どうつながっているかはわからん。
しかし円城塔のサービス精神、パロディ精神、笑ってねというメッセージはじゅうぶんに受け止めた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文学 日本 小説 /SF
感想投稿日 : 2021年4月22日
読了日 : 2021年4月22日
本棚登録日 : 2021年2月5日

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