食べごしらえおままごと (中公文庫 い 116-1)

著者 :
  • 中央公論新社 (2012年9月21日発売)
3.88
  • (14)
  • (16)
  • (20)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 412
感想 : 31
3

「椿の海の記」を先に読んでおいてよかった。
グルメエッセイって苦手なのだが、本書は作者自らグルメではないと主張、印象的なタイトルへつなげる。
実際読んでいて浮かぶのは食べ物そのものではなく、そんな食事や料理を営んできた人々の姿だ。
特に作者の父母や弟の顔が、もちろん知らないけど浮かぶかのようだ。もちろん「椿の海の記」の影響。
石牟礼道子は1927年生まれ。わが祖父と同じくらいか。ちなみに、
三島由紀夫は1925年生まれ。
水木しげるは1922年生まれ。
育ちや環境は全然異なるが。
以下メモ。

父の歳時記への拘り。
母が子を五日で喪う。
馬の背さながらの俎板。
子を寝かしつける母は即興詩人。
流産した産婦さんに、赤ちゃんはすぐまた、のさりなはります、と母。
誕生日も命日も夫に任せきりだった母。亡くして初めて困る。笑い泣き。
子油徳利を語るうち、こわくなる母。
みんみん滝。おみよが身投げして蝉に生まれ変わって。
獅子舞の口を開けて、アーンしなはりまっせ、ほら、と正月の料理を若衆に。
リヤカーで行商にいくとき、5つの娘を連れることで、夜道のこわさを紛らわせる母。
菖蒲を切りにゆくときは主人公のように思っていた弟。父が息子に、菖蒲を鉢巻きのように巻いて。
から薯→おさつ。
どっさり作る→ものごとをする。
宮沢賢治が特別の位を与えて、苹果と読んだ。
解説は池澤夏樹。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ライトエッセイなど
感想投稿日 : 2022年7月20日
読了日 : 2022年7月20日
本棚登録日 : 2021年7月1日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする