テレビアニメ第1期(2017-)を見て魅了され、電子で漫画(2012-)を追っている。
総集編【前編】「旅立ちの夜明け」【後編】「放浪する黄昏」(2019)を経た新作映画「深き魂の黎明」(2020)を見て、
テレビアニメ第2期「烈日の黄金郷」(2022-)に備えようとした次第。
(総集編後編がPG12,本作が前売り券販売中にR12→R15+に引き上げ、とステップアップしているのが面白い。ちなみに2022年9月発売予定のゲームはCERO:Z(18才以上のみ対象)なのだとか。)
原作で一番熱い4~5巻。
ここを映画として完全に大人向けに舵を取ってくれた制作陣に感謝したいくらい、壮絶美、残酷美、グロカワ、陰惨流麗、ここに極まれり。
グロテスクであることが同時に美しいという描写は、宮崎駿「風の谷のナウシカ」原作や庵野秀明「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に」に匹敵するが、
本作のタチの悪いところは、それら過去作(さらに作者インタビューによれば夢枕獏・谷口ジロー「神々の山嶺」なども)を踏まえた広壮な舞台を、作者自身の性癖に直結させている点ではないかと思う。
要は、作者は自らの変態性欲を世界観や筋に埋め込み、駄々洩れ、読者も自分の性癖が筋として展開する場に立ち会える。
こんなに幸せな創作ってなかなかないし、かくいう私もつくし卿には私淑するところ大。
そんなつくし卿が生み出した度し難いキャラクターが黎明卿ボンドルドで、ボ卿大活躍の映画が面白くないわけがないと予感していた。
が、実際映像として見た、ボ卿の声音や口調、プルシュカの健気さや動きには、ちょっと想像を超えるものがあった。
声優の演技、というか、本当にいるような気がした。
森川智之さんの声だからこそ含蓄深い名台詞の数々が生きて立ち昇ってきたように思えたし、水瀬いのりさんの声が健気だからこそ悲劇(?)の予感がしたせいで、前半にしてすでにハラワタおかしくなりそうだったし、後半見ながら唸らずにいられなかった。
つくし卿≒ボ卿が作り出した残酷の極致〈カートリッジ〉……痛む内臓に意識が備わっていることの残酷さ……それを単にカートリッジと名付けることの罪……捨てられたカートリッジの、断面というか容器から覗ける、肉の脈打つ感じ……そして「プルシュカがこぼれちゃう…」ペロペロペロ「ケプッ」とか、よう描けたな>つくし卿(詰問≒讃美)。
そんな特殊な癖を、音楽、音響、美術、台詞、動き、の饗応でパッケージした、唯一無二の映画だと思う。
「なんと… なんと素晴らしい…」
どうしてもボ卿を悪人と断罪できないのは私だけではあるまい、ブッ殺す展開にできなかったつくし卿も、そしてリコ、レグ、ナナチ、プルシュカ、それぞれの立場でボ卿を否定しきれない……ここに一言では言えない本作の魅力があるのは間違いない。
「どうか君達の旅路に、溢れんばかりの呪いと祝福を…」
完全脱線するが、「パパ棒」を映画館のチュロスに見立てるとか、カートリッジをグッズにしちゃうとか、エロもグロも遊んじゃうネット的ノリが大好物で、平和を感じるのはこういうネタを見たとき。
6巻以降は悪く言えばマンネリズム、言い直せばマニエリスティックな展開を迎えるので、テレビアニメでどう描かれるのか、期待。
- 感想投稿日 : 2022年7月13日
- 読了日 : 2022年7月13日
- 本棚登録日 : 2022年7月13日
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