オウエンのために祈りを 下 (John Irving Collection1989-1998)

  • 新潮社 (1999年8月1日発売)
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感想 : 14
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主人公(ジョン)が子どもの頃からの親友であったオウエンを回想する.オウエンは大人になっても身長は子どもほどしかなく,声変わりしていないキイキイ声であるが,極めて優秀で,級友たちや学校には多大な影響をおよぼしている.オウエンはたびたび啓示的な発言をするが,それを最も近くで聞くのは語り手であるジョン(=ヨハネ)である.どうやらオウエンは自分が死ぬという考えて取り憑かれているらしい.ジョンの父親が誰だかを明かさないまま,ジョンの母親は死んでしまった.ジョンのいとこたちとの交流,オウエンの放校,ケネディとモンロー,そしてベトナム戦争の泥沼に苦悩するアメリカが大きなうねりとなって共鳴して,ラストでは読者は号泣する羽目となる.
映画「サイモンバーチ」を随分前に見て,本書は読む必要がないと思ってスキップしていたが,換骨奪胎とはこのことで,全然内容が違うじゃん! 自分の中ではジョン=アーヴィングのベストである.
聖書や教会での行事が頻繁に引用され,また,信仰とは何か?という問いが一つの柱となっているが,そこにこだわって理解しようとする必要はないように思う.

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年10月3日
読了日 : 2021年10月3日
本棚登録日 : 2021年10月3日

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コメント 1件

アテナイエさんのコメント
2021/10/03

こんばんは。レビューを拝見して懐かしくなりまして、「自分の中ではジョン=アーヴィングのベストである.」というko2baさんのコメントに、思わず私もうなづきました。彼の楽しい小説群の中で、この作品はわたしももっとも好きなものです♪ がぜん読んでみたくなりました。

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