主人公(ジョン)が子どもの頃からの親友であったオウエンを回想する.オウエンは大人になっても身長は子どもほどしかなく,声変わりしていないキイキイ声であるが,極めて優秀で,級友たちや学校には多大な影響をおよぼしている.オウエンはたびたび啓示的な発言をするが,それを最も近くで聞くのは語り手であるジョン(=ヨハネ)である.どうやらオウエンは自分が死ぬという考えて取り憑かれているらしい.ジョンの父親が誰だかを明かさないまま,ジョンの母親は死んでしまった.ジョンのいとこたちとの交流,オウエンの放校,ケネディとモンロー,そしてベトナム戦争の泥沼に苦悩するアメリカが大きなうねりとなって共鳴して,ラストでは読者は号泣する羽目となる.
映画「サイモンバーチ」を随分前に見て,本書は読む必要がないと思ってスキップしていたが,換骨奪胎とはこのことで,全然内容が違うじゃん! 自分の中ではジョン=アーヴィングのベストである.
聖書や教会での行事が頻繁に引用され,また,信仰とは何か?という問いが一つの柱となっているが,そこにこだわって理解しようとする必要はないように思う.
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年10月3日
- 読了日 : 2021年10月3日
- 本棚登録日 : 2021年10月3日
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コメント 1件
アテナイエさんのコメント
2021/10/03