幕末から明治にかけての戊辰戦争に,上総請西藩(現在の木更津付近)の藩主林忠崇が,なんと自ら脱藩して幕府側に参戦,小田原や磐城を転戦した.
朝廷側は当然激怒するが,幸い死罪となることはなく,ただ,身一つで世の中に放り出される.旧大名は全て華族に叙せられた上で子爵以上の位を得るが,もちろん林一族のみは例外.
その後,かつての家臣一族の奔走や親戚筋の小笠原一族の助けを借りて,甥がようやく男爵に叙せられる.本人は昭和16年に94歳の天寿を「最後の大名」として全うする.
とある理由で忠崇は徳川家に大変な恩義を感じており,また,徳川家との関係を誇りに思っていたことが強烈な佐幕姿勢につながるのだが,若さ,および,育ちがいい(お殿様だから当然)ことが,脱藩という奇天烈な行動をとったことに,また転戦中に優柔不断に陥ったことにつながり,だからこそ命を落とさずに済んだとも言える.
「琴となり下駄となるのも桐の運(忠崇の俳句)」
なんと数奇な人生か.
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- 感想投稿日 : 2022年2月1日
- 読了日 : 2022年1月31日
- 本棚登録日 : 2022年1月31日
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