生きるための論語 (ちくま新書 953)

著者 :
  • 筑摩書房 (2012年4月4日発売)
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本棚登録 : 280
感想 : 18
5

ありきたりな言い方ですが、目から鱗が落ちました。
こんな読み方があったとは!と驚きました。

『論語』は、アジアで最も読み継がれている書籍です。
そして、その影響力は、絶大です。
『論語』は、孔子の弟子たちが編纂したもの(孔子自体は筆記していない、
ただし、その編纂も時の権力者が一枚も二枚も絡んでいる)ですが、
その価値は、歴史状況によってコロコロ変わります。
文革時代なんかは、唾を吐いても、全然平気でした。
孔子自体を否定した時代ですから。
今は、中華文明の神髄として、尊敬されています。

日本は、伝統的に論語を称賛してきました。
個人的には、論語は、もう価値が定まったもので、
何人かの専門家の解釈を「知る」こと、
そして本文を「暗記する」ことが、論語を読むことだと思っていました。
ありがたいモノだと思って、ちょっとずつ読み解く感じです。
読み解くといっても、素人が意味をとれるほど、甘くありませんが。

しかし、著者は違います。
『論語』の新解釈を再度試み(もちろん、先人の解釈も参考にする)、
その解釈が、現代の人間が如何にして幸福になりえるか、そのヒントを、
論語に求めています。そして、『論語』を、生き生きとした、
生命力ある書物として、蘇らせています。
まさに、復活の魔法です。著者の学問のベースと、また想像力、
そして、何としても知恵を引き出したいという切迫感が、
孔子を現代に蘇らすことに成功した要因でしょう(もちろんこういうやり方は、
批判されます)。
古典への付き合い方が、根本的に変わるようなインパクトを感じました。
また、具体的な生活への応用の仕方は、著者の『生きる技法』が非常に参考になります。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年12月2日
読了日 : 2019年12月2日
本棚登録日 : 2019年12月2日

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