風の海 迷宮の岸(下) 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)

著者 :
  • 講談社 (1993年4月20日発売)
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感想 : 258
5

上巻から勢いの止まらないまま、下巻に突入。

天啓がどんなものなのか泰麒は判然としないまま、戴国の玉座を目指して人々が昇山してくる夏至を迎える。
泰麒と同じく、私たちにも天啓と呼ばれるものの正体ははっきりと判らない。

けれど、泰麒がとある人物から受ける印象を自分も追いながら、ふとこれは「恋」にも似た感情ではないか、と思えた。
頭では判っているのに心が追いつかない、あるいは、心が先走って理性では抑えられない。
そんな状態。

麒麟は王を選ぶ。
天が麒麟を王に据えることを良しとせず、麒麟に王を選ばせる理由。
麒麟と王は一対なのだから、どちらが欠けても立ち行かないし、だからこそ、ないものを補いあうために互いが存在する。
麒麟は往々にして、慈愛の動物。
けれどそれにだって個性はあるから、それに選ばれる王も「こういうものだ」と十把一絡げにできなくて、自分にだって「なぜこの人なのだろう?」ってふと考えてしまうことってあると思うのだ。

うーん、やっぱり恋だよね。この抑えきれない衝動。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2012年9月3日
読了日 : 2012年9月3日
本棚登録日 : 2012年8月31日

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