上巻から勢いの止まらないまま、下巻に突入。
天啓がどんなものなのか泰麒は判然としないまま、戴国の玉座を目指して人々が昇山してくる夏至を迎える。
泰麒と同じく、私たちにも天啓と呼ばれるものの正体ははっきりと判らない。
けれど、泰麒がとある人物から受ける印象を自分も追いながら、ふとこれは「恋」にも似た感情ではないか、と思えた。
頭では判っているのに心が追いつかない、あるいは、心が先走って理性では抑えられない。
そんな状態。
麒麟は王を選ぶ。
天が麒麟を王に据えることを良しとせず、麒麟に王を選ばせる理由。
麒麟と王は一対なのだから、どちらが欠けても立ち行かないし、だからこそ、ないものを補いあうために互いが存在する。
麒麟は往々にして、慈愛の動物。
けれどそれにだって個性はあるから、それに選ばれる王も「こういうものだ」と十把一絡げにできなくて、自分にだって「なぜこの人なのだろう?」ってふと考えてしまうことってあると思うのだ。
うーん、やっぱり恋だよね。この抑えきれない衝動。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2012年9月3日
- 読了日 : 2012年9月3日
- 本棚登録日 : 2012年8月31日
みんなの感想をみる