愛のゆくえ (ハヤカワepi文庫 フ 1-1)

  • 早川書房 (2002年8月1日発売)
3.53
  • (39)
  • (77)
  • (115)
  • (12)
  • (6)
本棚登録 : 1088
感想 : 80

さようなら、「電子書籍」 という記事の最後にこの本の内容が 紹介されていた。
「電子の本」という夢は、「電子書籍」とは別かもしれない。
URLはこちら http://wired.jp/2013/08/02/farewell-ebooks/5/ 『http://wired.jp/2013/08/02/farewell-ebooks/5/』 : 
 『わたしが「電子の本」について考えるとき、いつも思い浮かべるのは、リチャード・ブローティガンの『愛の行方』(原題は “Abortion: An Historical Romance 1966”)の冒頭に登場する奇妙な図書館だ。この図書館に自分が書いた「本」を収めようと、多くの人がやってくる。どんな本なのか、そのタイトルを見ていくだけでも楽しい。ほとんどがアマチュアである、彼ら彼女らが書いたあまりにも個人的な本は(例えば『ホテルの部屋でろうそくで植物を育てる方法』のような)、誰にも読まれないまま、いずれは洞窟の奥に捨てられてしまう。

でもいまならば、そうした本も静かに読者との出会いをネット上で待つことができる。「電子書籍」の栄光は、ベストセラーや古典のなかに、『ホテルの部屋でろうそくで植物を育てる方法』のような本が、平然と存在しているところにあるとわたしは思う。「緊デジ」以後の日本の「電子書籍」が、そうした本も含めて発展してくれることをわたしは強く期待する。だがもし、その期待がかなわないなら、わたしたちはより自由になるために、むしろ「電子書籍」というぎこちない言葉のほうを、そろそろ脱ぎ捨てたほうがいいのかもしれない。』
読むきっかけは上記の記事だったが、読み始めると全くそれとは違う世界に引きこまれていきます。
読者のいない一風変わった図書館の仕事に固執する主人公。
シュールな主人公の周りに起こったできごとが、ちょっと違った優しい視点で丹念に綴られていく。
 すっかりその感覚に浸っていると・・・。
旅から戻った時の災難とも言える出来事は、幸か不幸か主人公とその恋人を現実的でフツーな暮らしに連れ戻してくれる。
ホッとすると同時に魔法が消えたような読後感は、
 「不思議の国のアリス」が現実世界に戻った時のようで、物足らなさを感じてしまう・・。

その後、「訳者あとがき」と「解説(高橋源一郎)」を読み、作者のことを知る。
ビート・ジェネレーション から フラワー・ジェネレーション(ラブ・ジェネレーションピッピー族)の頃 絶大な人気だったのだそう。
やがて忘れ去られていたが、また再評価され始めたようです。
 といっても、もう一冊何かを読む気にはならないけど・・・。

参考 
・ URLはこちら http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%93%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%8D%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3 『ビート・ジェネレーション - Wikipedia』 :  (第一次世界大戦から1920年代までに生まれた世代)
・ URLはこちら http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%92%E3%83%83%E3%83%94%E3%83%BC 『ヒッピー - Wikipedia』 :  1960年代後半〜

2013/8/9  予約 8/13  借りる。 8/15 読み始める。 9/9 読み終わる。

内容と著者は

内容 :
内容(「BOOK」データベースより)
ここは人々が一番大切な思いを綴った本だけを保管する珍しい図書館。
住み込み館員の私は、もう三年も外に出ていない。そんな私がある夜やって来た完璧すぎる容姿に悩む美女と恋に落ちた。
そして彼女の妊娠をきっかけに思わぬ遠出をするはめになる。
歩くだけで羨望と嫉妬の視線を集める彼女は行く先々で騒動を起こしてゆく。
ようやく旅を終えた私たちの前には新しい世界が開けていた
…不器用な男女の風変わりな恋物語。

長篇第4作にあたる本書は美しい文章とユニークな設定で発表当時から高く評価され、現在も普遍的な人気を誇っている。
伝統的な文学の形態にとらわれず、平易な言葉で美しい世界を作りだす彼の作品は、レイモンド・カーヴァーなど、アメリカを代表する作家たちに大きな影響を与えている。

著者 : ブローティガン,リチャード 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
詩人、小説家。1935年ワシントン州タコマに生まれる。
50年代後半にサンフランシスコに移住し、執筆活動を始め、1964年に小説『ビッグ・サーの南軍将軍』でデビュー。
1967年発表の小説『アメリカの鱒釣り』は若者たちの圧倒的な支持を得て、ブローティガンの代表作となった。
その後も1968年の小説『西瓜糖の日々』など幻想的な要素を盛りこんだ作品を次々に発表し、一世を風靡した。

1976年頃からアメリカと日本を往復し、大江健三郎や吉行淳之介らとも交流があった。
詩集『東京日記』や短篇集『東京モンタナ急行』など、日本を舞台にした作品もある。
1984年カリフォルニアの自宅で拳銃自殺

訳者 : 青木 日出夫
1936年生、早稲田大学大学院英文学科修了英米文学研究家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ◆小説:海外
感想投稿日 : 2019年1月12日
読了日 : 2013年9月9日
本棚登録日 : 2019年1月12日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする