決断できない日本 (文春新書)

  • 文藝春秋 (2011年8月18日発売)
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感想 : 134
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問題発言で一躍有名になった、前沖縄総領事のケビン・メア氏の著書。
大震災への対応から日米関係まで、アメリカの視点が非常によくわかる本で一読の価値アリです。
基地問題で言えば、日本政府の立場を守屋元事務次官の「『普天間』交渉秘録」で読み、沖縄の立場を大田元知事の「こんな沖縄に誰がした」で読みとり、アメリカ政府の立場をこの本で読めると思います。正直、一番よくわからないのが沖縄だという。。。(歴史的にも現在の立場でも難しく危うい立ち位置だからしょうがない面もあるのかもしれない)。
なるほどと思った点、アメリカにとっての同盟国の順位付けを日本がやたら気にするのはナンセンスだということ、朝鮮半島に有事が起きた際に米軍が介入するには自衛隊の協力が不可欠だということ、日本列島は中国に蓋をしているということ、そう考えるとアメリカから見れば日本は地政学上抑えて置かなければならない場所であること。
突っ込みたい点、米軍が撤退すれば、お互いの台頭を許さない中国、ロシア等の軍拡競争が起きると言っているが、両国はアメリカの台頭も許さないから結局同じじゃないかという点、その意味でアメリカの立場はわかるが日本がどういう安保体制を築くべきかということはまた別問題だということ、湾岸戦争の際の日本からの支援基金の活用について「お役所仕事」だと言って批判しているが、ソニーのウォークマンを買うことがたとえ米軍の士気に大きな影響を及ぼすとしても、それを国民感情が許すと思うのかと言いたい、「日本の文化を理解することが大事だ」と言っておきながら「お役所仕事」で片付けるのは居酒屋の親父レベルだ。

ともあれ、なんでも正直に話すというのは今の日本には非常に大事なことであり、こういう人とは真剣に議論してみたいなと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 新書
感想投稿日 : 2011年11月5日
読了日 : 2011年11月5日
本棚登録日 : 2011年11月5日

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