上巻は史実と統計で暴力の減少傾向を詳らかにしたが、下巻は人間の内省に焦点を当てて、理性と本能の変遷を分析している。例えば権利革命での女性含む権利的マイノリティの沽券獲得は興味深くあるものの、上巻の大胆な視点や論法のダイナミズム、優れた発見に比べると見劣り感は否めない。内容も冗長的で600ページも必要だったのかな?と思ってしまった。「内なる悪魔」「善なる天使」も人間の本質を捉えようとし優れた考察ではあるが、あまりに多面的な論点と数多の実証実験を論拠とした展開は「もう分かったから」と食傷気味になってしまう。
章ごとの質の粒度にバラツキはあるものの「暴力の人類史」全体では非常に面白い書籍ではあった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
学術/思想
- 感想投稿日 : 2018年7月9日
- 読了日 : 2018年7月9日
- 本棚登録日 : 2018年6月24日
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