村上春樹の初期の作品は、「都市小説」として捉えることができる。「都市小説」とは、近代都市、特に村上春樹作品では高度資本主義社会下のあらゆるものを記号として消費する都市と、そこに生きる人間の孤独や虚しさを描いたものだ。しかし筆者によれば『1Q84』のような比較的新しい作品では、「都市小説」というよりも「世界文学」といったほうが適しているという。「世界小説」とは人々の拠り所となる「大きな物語」を提示するものであり、極めて単純に言えば村上春樹が社会へのコミットメントを志向しだした現われといえる。そのため松本は、村上春樹はいずれノーベル文学賞をとるのでは、と述べているがはたして。
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カテゴリ:
文学
- 感想投稿日 : 2011年1月14日
- 読了日 : 2011年1月14日
- 本棚登録日 : 2011年1月14日
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