商売繁盛 時代小説アンソロジー (角川文庫)

  • KADOKAWA (2020年11月21日発売)
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本棚登録 : 280
感想 : 27
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仕事をテーマにした5編の短編時代小説アンソロジー

「晴れ湯」朝井まかて(『福袋』所収)
湯屋の娘で10歳のお晴が、けなげに家業に励もうとする姿がいじらしい。
この話以外はミステリー仕立て。
「月に叢雲、花に風」梶よう子(みとやシリーズ『ご破算で願いましては』所収)
親と店を失って、何でも38文の江戸版100均ショップ「みとや」を立ち上げた兄妹だが、兄が仕入れてきた「月に叢雲」の守り刀は祟りの噂のあるいわく付で、妹のお瑛はうろたえて一騒動持ち上がる。
「利休鼠」畠中恵(『つくもがみ貸します』所収)
姉弟で営む損料屋(レンタル業)に持ち込まれた相談は、婿入り先からもらった当主の証の鼠の根付けが、自分で動いていなくなったという話で、損料屋の付喪神(百年を経てあやかしになった道具)たちが情報収集すると、真相は意外なことに。
「千両役者」西條奈加(上野池之端 鱗や繁盛記』所収)
料理屋の「鱗や」は人気の役者を囲む金持ちの夫人たちの集まりの席を引き受けたが、事前に注意するよう言われていた落花生アレルギーで参会者が倒れた。若旦那の八十八朗は犯人を推理し、大事にならないにきっちり解決策まで手を回す。
「坊主の壺」宮部みゆき(『お文の影』所収)
ちょっと怖い怪談仕立て。
材木問屋田家の主は、疫病を避ける方法を知っていて、人々の救済に力を尽くす。家族を失ったが命を救われて田家に奉公したおつぎは、主が持つ掛け軸の絵に書かれている壺に入っている男が見えたが、他の人には見えなかった。おつぎは主から重大なことを明かされ、次の代を託されることになる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 時代小説
感想投稿日 : 2021年2月9日
読了日 : 2021年2月9日
本棚登録日 : 2021年2月9日

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